家族の会だより

活発化するアジア太平洋地域のADI加盟団体

認知症の人と家族の会理事 国際交流委員 鷲巣典代

 家族の会は1992年に国際アルツハイマー病協会(ADI)に加盟し、国際会議の開催や参加、アルツハイマー月間の啓発活動、国際調査への協力などの活動を行っています。

 これらを通して日ごろ、交流機会が多いアジア太平洋地域のADI加盟団体について紹介させていただきます。

 今、世界の認知症の人は約5500万人ですが、膨大な人口を抱えて高齢化が進むアジア圏で今後の急増が予測され、この地域の団体の動きが活発になっています。

 各団体は政治、経済、文化、また高齢化率も大きく異なります。国や企業の助成金を得て、専門職スタッフと広いオフィスを備える団体もあれば、政府の援助は皆無、資金は篤志家と代表個人の寄付が全てというところまでさまざまです。けれども、みな、おのおのの状況の中で、認知症の人と家族のために、日々奮闘しています。

 これら団体の活動の共通点は、日本や欧米が30年以上かかって得た知見をしっかりと取り入れて、自国流の取り組みを展開していることです。家族支援と本人支援両方を活動の原則とし、国家プラン策定の提言、地域づくりの推進、若年層への啓発、ITの活用、介護予防など、各団体が国や地域を牽引しています。

 コロナ禍により、地域の団体と対面で会う機会はなくなってしまいましたが、オンラインでの交流は以前に増して活発になっています。ロックダウン下での支援の工夫、外出支援アプリ、バーチャルイベントなどITを駆使した活動報告が毎日届きます。

 アジア太平洋地域のメンバー間には、パソコンの画面で顔を見るだけでもお互いにほっとするような雰囲気があり、宗教も政治も超えたパートナーシップが築かれています。

 世界に先駆けて認知症に取り組んできた日本の「今とこれから」への関心も高まっています。

 老健事業によって開設した、日本語と英語で日本と海外をつなぐウェブ上の「日本認知症国際交流プラットフォーム」を活用して、認知症にやさしいアジア太平洋地域を作るために、各国の団体と力を合わせていきたいと考えます。

2021年12月