家族の会だより

若年性認知症の方と共に生きる

認知症の人と家族の会理事・岡山県支部代表 安藤光徳

 65歳未満で認知症を発症すると「若年性認知症」と呼ばれます。厚生労働省の2020年の発表によると、全国の若年性認知症の方は約3万5700人と推計され、前回調査(09年3月)より若干減っています。ただし、人口10万人当たりでは50・9人で、前回の47・6人より増えています。

 若年性認知症の人と家族が抱える課題は、受診の遅れや周囲の無理解に始まり、経済的、就労継続、介護、退職後の「居場所」等々幅広い分野にわたっています。国は15年に認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)で若年性認知症施策の強化を打ち出しました。その一つに若年性認知症支援コーディネーター(以下コーディネーター)配置事業があります。コーディネーターは、都道府県や政令指定都市に設置された若年性認知症支援センターに、関係機関とのネットワーク構築のための調整役として配置されました。

 岡山県支部は19年度から県の委託を受けています。他にも15支部が同様に委託を受けています。

 ①長年会社勤めをしていた方が物忘れを起因として仕事に支障が出た②受診した結果、若年性認知症の診断を受けた③会社に迷惑をかけたくないという理由で自ら退職した㈬診断時やその後、医療機関や職場には利用できる社会資源の情報がなく、どこに相談したらいいか分からなかった−−。このような経過の方の相談は典型的な例です。

 最近、若年性認知症支援センターの存在を知る方々が徐々に増えてきましたが、コーディネーターの役割などの啓発を積極的に行う必要性を常に感じています。

 「家族の会」本部は、2人の本人を加えて「本人・若年支援専門委員会」を発足させ、本人交流会のブロック開催、本人(若年)のつどいを考え、広める研修会の実施、本人、家族の声の発信等々に取り組んでいます。

 相談事例から課題を整理して、「家族の会」ができる支援の充実を図るとともに、行政に対して具体的な提言をする活動を今後も続けて行きたいと思います。

(認知症の人と家族の会理事・岡山県支部代表 安藤光徳)

2022年2月