家族の会だより

「出会い」は介護の原動力

認知症の人と家族の会理事・東京都支部代表 大野教子

 認知症の義母の呼び寄せ同居が解消された私が、「家族の会」東京都支部の世話人となったのは23年前でした。その後、遠距離介護を18年間続け、5年前に義母を看取り終えました。支部活動にかかわったことでたくさんの方と出会い、たくさんの気づきや感動を得たことが大きな原動力となりました。介護を家族全員(長女夫婦・次女・長男夫婦・孫たち)で役割分担をし、なんとか無事に乗り越えることができたと思っています。

 以前、会員(女性・80代)の方から、「私は結婚以来、ずっと頼りになる夫の後ろをついてきたのよ。なのに、まさかこの年になって夫が認知症になるなんて…。心細かった。でも、ご近所にも同じような悩みを持っている奥さんがいることを初めて知ったの。ケアマネさんも親身になって一緒に考えてくれるし、デイサービスの若いお兄さんとも冗談を言い合ったり。夫が認知症にならなかったらその人たちとは出会えなかったのよね」と伺いました。

 きっとこの方のように「出会い」に救われている方がほかにもたくさんいらっしゃるはず、みなさんの声を集めようと、東京都支部では2016年にアンケート調査を実施し、翌年、「『認知症の人と家族の思い』に関する調査報告書」を作成しました。結果は▽出会いがあった60・7%▽なかった34・4%▽無回答4・9%ーーでした。4割近くの方が「出会い」を得られていないことを知り、ショックを受けました。「家族の会」の会員でいても、なかなか「出会い」に恵まれないのかと。

 それに加え20年以降のコロナ禍で、介護家族は人とのつながりが思うように保てず、より一層孤立しています。東京都支部では「出会いの場」となる支部活動(つどい・オンラインつどい・カフェ・電話相談・支部報)の充実を図るとともに、ひとりでも多くの会員の方と顔の見える関係を築けるよう努めていきたいと思っています。

2022年6月