家族の会だより

ネット募金と「介護保険」を守る

鈴木森夫・認知症の人と家族の会代表理事

 公益財団法人認知症予防財団が「認知症110番」の存続の危機を訴えて、クラウドファンディングにトライされ、800万円を超える支援が寄せられ、電話相談事業を継続されたことに、同じように長く認知症の電話相談を続けている仲間として、心から拍手を送ります。

 私たち「家族の会」は、1980年の結成以来42年間、「認知症になっても安心して暮らせる社会」の実現を目指して、認知症の人と介護家族による交流促進・支援を続けてきましたが、ここ数年、会員の減少、寄付金収入減により、厳しい財政状況が続いています。

 そこで、私たちも財団の皆さんのチャレンジに勇気をいただき、初めてのクラウドファンディングを始めました。「わかりあえる場をこれからも」を合言葉に、認知症の人や介護家族の孤立を防ぎ、紡いできたつながりを守るために、会の存在をもっと知っていただくための広報資金を募っています。期間は、9月21日から11月18日までの59日間で、目標金額は500万円です。どうか、よろしくお願いいたします。

 もう一つの挑戦は、介護の命綱とも言える介護保険制度の後退を止めることです。今、2年後の制度「改正」に向けて国の審議会では、利用料負担を2倍にするとか、新たにケアプランの作成を有料化するなどの負担増に加えて、認知症の人が多くを占める要介護1、2のサービスを介護給付から外し、自治体まかせにするという、私たちにとって耐え難く、決して容認できない見直しの検討が行われています。

 私たちは、こうした動きに反対の意思を表すため、「安心できる介護保険制度を求める」署名活動を開始しました。今回、初めてオンライン署名にもチャレンジし、紙の署名と合わせて8万筆を目標に取り組んでいます。介護のある暮らしを守り、未来に安心を届けるために、世論の力で、さらなる負担増と介護サービス削減にストップをかけましょう。

鈴木森夫・認知症の人と家族の会代表理事

2022年10月