家族の会だより

同じ悩みの人たちが支え合い

青木雅子・認知症の人と家族の会理事(滋賀県支部副代表)

 毎月1回、滋賀県支部ではさまざまな介護者のお話を聞く機会、「つどい」を開いています。コロナ禍で休止になったこともありましたが、マスク着用、換気、除菌など感染予防対策をとり、開催しています。

 時にはつどい担当者だけの参加となる日もありますが、開いていることが大切です。初めての参加者は硬い表情、沈んだ声の方が多いものの、思いのたけを吐き出され、終わる頃には明るい表情で「来てよかった」と言って帰られます。同じような悩みを抱えている人たちが支え合うピアサポートの良さだと思います。

 最近のつどいでのエピソードを紹介します。

 両親を介護されている娘さんより、実母との関係は良好だが、認知症状のある実父との折り合いが悪いとの相談がありました。地域包括支援センターの職員と一緒につどいに来られ、最初は涙ながらに実父とのやり取りを話してくださいました。それからほぼ1年になる最近は笑顔がみられ、新しく参加された介護者に自分のことを話されています。

 夫の施設探しで困っている、誰に相談したらよいか? とつどい開催のチラシを握りしめて参加された女性がいらっしゃいました。高齢になり、交通の便、買い物が便利なところに引っ越されたのですが、近所付き合いもなく、子どもたちは遠くに住んでおられます。

 そんな折、これまでデイサービスを利用していた夫が病気を患ったそうです。介護をしている女性にも持病があり、今、夫は介護老人保健施設に入所されているそうです。ところが施設からの退所期限が迫ってきていて、先行きの不安を抱えて参加されました。

 つどいでは私も発言しました。週2回デイサービスを利用する実母(101才、要介護2)が右大腿部頸部(だいたいぶけいぶ、足の付け根に近い部位)を骨折し、股関節や左膝関節の痛みがあって歩けなくなったこと、それなのに自分が胸椎(きょうつい)圧迫骨折をしてしまったことなどです。

 ただ、母はポータブルトイレで排泄(はいせつ)(時々大便の始末で陰部清拭(せいしき)を手伝う)することができ、車いすへの移乗も見守れば可能なので重労働の身体介護は必要ないことも説明しました。介護者の私が思うように動けない状態ですが、大きな支障はないことを伝えると皆さんが温かい声をかけてくださり、心強く思いました。

 人と人の交流が希薄になっているこの時期だからこそ、つどいの重要性は高まっていると思います。本人、介護者への支援、「家族の会」つどいへの理解と協力をお願いします。

2023年4月