家族の会だより

どうなる「成年後見制度」

認知症の人と家族の会
花俣ふみ代・副代表理事

 介護保険制度と同時にスタートした成年後見制度。介護保険については、3年ごとの見直しにより、今や原形をとどめない複雑怪奇?な制度に変貌したと言わざるを得ない有り様です。他方、成年後見制度はというと、これまで財産管理ばかりが強調され、利用者数そのものもごく少数であり、利用者にとって使いにくい制度であったことは否めません。

 そこで、国は高齢者の5人に1人が認知症になるとされる「2025年問題」を見据え、大きく舵(かじ)を切ろうと動き始めました。16年には「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が施行され、翌年に、第一期基本計画を、さらに昨年3月には第二期基本計画が閣議決定されたところです。

 計画の基本的な考え方には「尊厳のある本人らしい生活の継続と 地域社会への参加を図る権利擁護支援の推進」が明記され、また「成年後見制度の利用促進とは単に利用者の増加を目的とするのではなく、全国どの地域においても、制度の利用を必要とする人が、尊厳のある本人らしい生活を継続することができる体制の整備を目指すものでなければならない」とされました。

 本来、成年後見制度とは、認知症を含むさまざまな障害のために財産管理(不動産や預貯金などの管理、遺産の相続手続きなど)や身上保護(介護・福祉サービスの利用や施設入所・入院の契約など)といった法律行為を行うのが困難になったり、悪質商法の被害にあってしまったりするような方々を後見人などが法的に保護する仕組みです。ご本人の意思を尊重した支援を行い、共に考え、だれもがその人らしい生活を続けられるよう、人としての尊厳と権利を守ってくれる制度であり、その実現に向け「地域全体で明るい未来を築いていく」ことこそ、今まさに制度が目指す方向です。

 なお、インターネット「成年後見はやわかり」という厚生労働省・ポータルサイトでは、知りたい情報が分かりやすく網羅されています。詳しく知りたい方はぜひ一度アクセスを!

成年後見制度のキャラクター

後犬(こうけん)ちゃん

2023年6月