家族の会だより

知って語れる場の大切さを再確認

認知症の人と家族の会理事
福島県支部 芦野正憲

 9月は世界アルツハイマーデー・月間として、認知症啓発月間になっています。6月に国会で成立した「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」は、9月を認知症月間、9月21日を認知症の日と定めています。認知症の人と家族の会は30回続く月間の啓発活動を、今年の啓発標語「もっと知ろう もっと語ろう 認知症」のもと全国各地で開催しました。

 また、当会では毎月“つどい ”を開催しています。ここでは当事者の悩みや不安を参加者が共有し、認知症のことを話し、なんでも聞きあえる場になっています。支部によっては年に1回、つどいになかなか参加できない方を含めて一泊の研修で学び、存分に話ができる集まりも開催しています。私の住む福島県支部でも助成を受け毎年開催していました。ただ新型コロナウイルス感染症の影響で3年間開けず、今年4年ぶりに行うことができました。

 参加者の声を一部紹介します。「介護の仕方、体験談は聞いていたが、多くの方と見聞きすることで改めて大切さを学んだ」「相手を大事に思う気持ちを伝えることの大切さを知った」「心に余裕がないといい生活ができないことがわかった」「現役世代から90歳台まで多様な方と話すことができた」「話すことは苦手だが、ゆっくりと聞いてもらい話を引き出してくれてうれしかった」「何年かぶりの温泉、サポートしてもらい入浴できた」……。

 知って(研修)、聞いて語って(交流)、リフレッシュして、明日につなげる活動を再開できたことにホッとするとともに、このような活動が当たり前にできないと、不安や悩みを感じている方、ストレスで生きにくさを感じている方が前向きになれないことを改めて感じました。同じ9月には、岸田文雄首相の主導で、認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議が発足しました。聞く力だけでなく知り・語り・実行する力が発揮されることを期待したいと思います。

2023年10月