微笑みのシワ生む「つどい」

合江 みゆき
家族の会では「会報の発行」「つどい」「電話相談」を活動の3本柱としています。その一つ「つどい」は、本人や介護家族が生活をしている地域で開催しています。孤立しやすい介護家族が「つどい」に参加することで、参加者と悩みを共有し、さまざまなアドバイスを出し合い、一人ではないことを実感します。介護に対する不満や不安は地域特有な事柄が大きく影響することもあります。その地域に住んでいるからこそ、理解でき知恵を授けることができるのです。
「つどい」もコロナ禍で参集が難しくなり、Zoomなどを活(い)かし続けた地域があります。仕事での活用だけでなく、ツールの1つとして活かしていくことも大切だと考えます。
「つどい」は「介護家族」「男性介護者」「看取(みと)り終わり」「本人のつどい」などテーマごとにも開催されていて、自分に合った「つどい」に参加することができます。これらの「つどい」は主に開催側が主導して行いますが、「本人のつどい」は本人が自主的に企画から運営までを行うことが期待されています。「過保護」になり過ぎて本人の自主性が失われないことが大切だと感じています。
かつて地域で支え合っていた時代がありました。さまざまな理由で地域での繋(つな)がりが薄くなってきていますが、認知症本人やその介護家族を支えるためには地域での支援が不可欠です。
コロナ禍で影響は受けましたがオレンジカフェ(認知症カフェ)や介護施設などの家族会、私たち家族の会が運営する「つどい」など地域での活動は活発に行われています。これらの活動を点から線へと繋げていくのも家族の会の役割だと思っています。
家族の会は当事者団体としての経験を四十数年にわたり積んできました。その経験を活かし誰でも安心して過ごせる社会を実現するために、やるべきことがまだまだあると思っています。
「つどい」に参加された方が「眉間(みけん)のシワ」を「微笑(ほほえ)みのシワ」に変えて帰られる姿を見るのは、とても幸せなことです。
認知症の人と家族の会理事・千葉県支部代表 合江みゆき
2024年8月