介護保険 利用者側の立場で

第9期介護保険事業計画(2024〜26年度)の介護報酬改定及び制度の見直しが4月(一部6月)に施行され、半年余りが経過しました。そろそろ一段落した感じではないでしょうか。
しかしながら、第9期の事業計画では見送られ、次の第10期(27〜29年度)開始時までに結論を得るとした、私たちにとって重大な継続審議項目が三つあります。
一つは自己負担割合を決める所得基準の引き下げです。
現在、介護保険法において利用者負担は原則1割となっている一方で、所得に応じて一部の人は2割負担(単身の場合、年収280万円以上)、ごく一部の人は3割負担(単身の場合、年収340万円以上)となっています。厚生労働省は2割負担の対象者を段階的に拡大していき、最終的には「原則2割負担」とすることを目論(もくろ)んでいます。同省は23年12月、2割負担となる人の所得基準について、最大で年収190万円以上(単身の場合)の人にまで広げる案を示しています。
継続審議項目の二つ目は、要介護1、2の利用者を「軽度者」と呼び、「軽度者」の訪問介護の生活支援サービスを市町村事業に移行させる案です。
そして三つ目は、自己負担がないケアプラン作成などに必要な居宅介護支援費について、新たに自己負担を求める案です。
もし、これらが現実化すると、自己負担が増えることで必要なサービスを控える人が出てくるのは間違いありません。その分、家族らの負担が増えることも容易に想定できます。また、介護が必要な認知症の人は日常生活への支障が大きくなるでしょう。認知症の人は要介護度が低くても、サービス利用量は比較的多く必要なケースが少なくないためです。
このように、利用者側にとってかなり不利益となる内容への改変は、何としても阻止していかなければなりません。当会は、介護保険制度の見直しについて議論する厚労相の諮問機関、社会保障審議会の介護保険部会、介護給付費分科会それぞれに委員を出しています。介護保険を利用する側の立場として、意見や要望をしっかり発言して参ります。
なお、その内容は、当会ホームぺージ上の「介護保険ニュース」にタイムリーにアップしておりますので、是非ご覧ください。
https://www.alzheimer.or.jp/?page_id=60629
認知症の人と家族の会 理事 志田信也
2024年10月