認知症予防シンポ 福岡会場に610人

 全国で300万人を超えた認知症患者とどう向き合うかを考える「認知症予防シンポジウム・福岡〜認知症と向き合う」=公益財団法人認知症予防財団、毎日新聞社、西日本新聞社主催、アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)協賛=が9月21日、福岡市のエルガーラホールで開かれた。610人が専門家の講演やパネルディスカッションに耳を傾けた。

中年期の高血圧も起因
筑波大の朝田教授 基調講演

基調講演する筑波大教授の朝田さん

 認知症とは、いったん発達した知能がある時期から悪くなり、生活に支障をきたす状態を言います。女性の場合は、最初に下手になるのが炊事、最後までできるのが洗濯です。アルツハイマーの人は方向感覚の中枢機能を損なっているので、手の親指と小指をつけて回す動作ができません。

 今、アルツハイマー治療薬は飲み薬、貼り薬など4種類出ています。副作用と効果のバランスを考え処方しており、最大で2年間、進行を遅らせる効果があります。

65歳以上の3〜5% 軽度認知症

趣味の継続、大事

 軽度認知症(MCI)が注目されています。記憶力は低下しても、日常生活、一般的知能は正常で認知症とは言えない状態を指します。65歳以上の3〜5%います。この人たちを4年間追跡すると半分は認知症へと進行していることが分かります。その特徴は(1)直近のエピソードを忘れる(2)同じ質問、話を繰り返す(3)置いた場所を忘れる――というものですが、私は華道や茶道など長年の趣味をやめたというのが黄や赤信号だと思っています。

 認知症の中で一番多いアルツハイマー病の危険因子には、残念ながら遺伝子もあります。中年期の高血圧は将来の認知症ファクターとして最近注目されており、血圧は上の方の数値を中年から120台にコントロールするのが望ましいです。

 米政府が一昨年、認知症予防で効果のあるのは、運動とコンピューターゲームのような認知トレーニングと発表しました。そうはいっても、効果はグレーゾーンで不確かです。予防策としては(1)2型糖尿病をコントロール(2)高血圧、高脂血症は治す(3)メタボリック症候群にならない(4)社会交流を続ける(5)運動の習慣(6)果物と野菜の多い食生活(7)禁煙(8)うつ病は若いうちから治す――が挙げられます。

 栄養面で言うと、青魚が良いです。一番理想的なのはサケ。サケは青魚です。それから緑黄色野菜、ブロッコリーと小松菜が理想的です。もう一つは、睡眠。睡眠は単に疲れを取るだけでなく、嫌な記憶を忘れて良い記憶を残す重要な作用です。30分以内の昼寝の習慣があると、認知症になりにくいという報告もあります。

 運動はアルツハイマー予防に効果があり、特に早歩きやサイクリングのような有酸素、持久力アップ系の運動が良いです。記憶力が良くなるのでなく、集中力がつきます。私たちは茨城県利根町で10年間、65歳以上のお年寄りを対象に認知症予防のプロジェクトを続けています。目的はMCIを見つけ、発症を少しでも遅らせることです。(映像流す。運動は腰ふりと手をグーパーする『フリフリグッパー』が紹介される)

 最後にまとめると、認知症にならないという決定的な予防方法はありませんが、有望なものとして、2日に1度の有酸素運動▽1日20〜30種類の自然食品とナッツ類▽知的刺激が挙げられます。

 あさだ・たかし 筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学教授。東京医科歯科大学医学部卒業。山梨医科大学神経科、英・オックスフォード大学老年科、国立精神・神経センターなどを経て、2001年より現職。専門分野は老年精神医学。特に、アルツハイマー病など認知症の早期発見・予防の追求が主要研究テーマ。

2013年1月