認知症予防シンポ12年度報告書発売

介護の世界に新風
映画監督や漫画家 独自の目線で

78号シンポ報告書表紙

 認知症予防シンポジウムの2012年度報告書「認知症にどう対応するか」が3月1日に発売される。「映画と漫画と」が今回のサブタイトル。介護の専門職ではない映画監督や漫画家が創作者らしい独自の目線で自身の親の介護を見つめ、介護の世界に新風を吹き込んだ話題の特別講演などを収録している。

 報告書はアフラックの協力で93年から毎年2〜3か所開催している地域連続シンポジウムの講演、パネルディスカッション、質疑などのすべてを同時録音し、これを基に編集して各年度ごとに全文掲載している。

 昨年8月の松本会場では、長野赤十字病院神経内科部長の矢彦沢裕之さんが「知っておきたい認知症の種類と治療」と題し基調講演。ケアの鉄則として「失われた能力はあきらめる」「正論を突き付けない」等をあげ、笑顔で、できたことを褒めることの大切さを説くなど、介護する側の心構えについて分かりやすく解説した内容が紹介されている。

 また認知症の母親を撮った映画監督の関口祐加さんの特別講演では、完成させたばかりのドキュメンタリーが現在も全国を巡回上映中の「毎日がアルツハイマー」の二つの予告編を随時流しながら、世間体を気にしていた母親が認知症になったことで自由人となり、その魅力的な姿にカメラを向けないではいられなかったこと、監督の目で見れば相手は被写体だったからこそ親の介護にのめり込まなかったこと、母親が孫たちにぼけるということを身を持って見せていることなどが紹介されている。

 続く昨年9月の福岡会場では、筑波大学教授の朝田隆さんが「認知症の危険因子と予防の可能性」のタイトルで基調講演。アルツハイマー病の危険因子として遺伝子や中年期の高血圧などをあげ、予防の可能性が高いものとして糖尿病や高血圧、メタボリック症候群に対処することと運動、社会交流の大切さなどを強調している。また栄養面ではサケやブロッコリー、小松菜が理想的とし、さらに茨城県利根町で実施している認知症予防体操の「フリフリグッパー」(腰ふりと手のグーパー)の有効性についても触れている。

 一方、認知症の母親を描いた漫画本「ペコロスの母に会いに行く」を刊行した漫画家の岡野雄一さんは「母に会いに行くという事」と題した特別講演で西日本新聞編集委員の木下悟さんと対談。認知症で日常から少しずつずれていく母親をむしろ「可愛い」と思い8コマ漫画で描いたこと、母親が急性脳梗塞(こうそく)で入院し退院後に在宅介護を諦め施設を選択した葛藤の日々、さらに症状は進んでも「良かさ。生きてさえおれば」という心境になっていく自身の思いを語っている。

 2回の基調講演は認知症治療の現状と望ましいケアの在り方、認知症の予防に有効とされる最新情報を、また特別講演では介護を1人で抱え込みがちな人たちに斬新なヒントを与える内容となっている。

 1部1000円(税込み)。問い合わせは本財団(電話03・3216・4409)へ。

2013年3月