GPSで高齢者見守り

警備会社サービス 利用者増加
位置検索⇒オペレーションセンターに連絡⇒警備員急行

セコムのオペレーションセンター

 全地球測位システム(GPS)を使って盗難の防止や家族の安全を確保するサービスが注目されている。中でも利用者が増えているのは認知症の人や急病者を見守る高齢者対応のサービスだ。7年後の2020年には認知症のお年寄りが400万人を超えると見られており、向う三軒両隣の絆といった伝統の地域力復活と合わせ、ITを駆使したサービスの充実も期待されている。

 GPSを使ったサービスは各警備会社とも力を入れ、それぞれ特徴がある。セコムの場合はGPS機能を搭載した「ココセコム」という端末をお年寄りや小さな子供に持たせ、パソコンや携帯電話から居場所をつかむシステム。端末の所持者が通常ではありえない場所にいる場合は、家族がオペレーションセンターに連絡し、警備員が現場に急行する。

 認知症ではないお年寄りが体調を急に崩した時は、端末の通報ボタンを押せばオペレーションセンターにつながる。中央の大きなボタンを押すだけなので、お年寄りや携帯は苦手という人でも対応できる。

GPS機能が付いた端末

 どんな利用のされ方が行われているのか。二つの事例を紹介する。

 「自転車で外出した父親(70歳代)の帰宅が遅い」と午前中、位置検索の要請があり、位置情報を家族に知らせると、現場急行サービスを求められた。1時間半後、自宅から約5キロ離れた自動車専用道路を自転車で走行中の父親を発見し、専用道の出口まで誘導した。すぐにタクシー手配の要請もあり、乗車まで見届けた。

 2例目は、午後8時、「母親(70歳代)の帰宅が遅い」と位置検索の要請があり、位置情報を家族に知らせると、現場急行サービスとタクシー手配の要請があった。17分後、路上を歩いている母親を発見し、家族に連絡するとともにタクシーを手配した。約25分後にタクシーが到着し母親を乗せ自宅へ出発。家族に報告した。しかし、その45分後に家族から「まだ到着しない」と連絡が入り、再度位置検索を行った。報告を聞いた家族の要望でタクシーの乗務員に状況を確認し、自宅近くまで来て母親が自分の希望で降りたということが分かった。家族から再度現場急行サービスの要請があり、40分後に路上を歩く母親を発見し、間もなく駆け付けた家族と合流した。

 どちらも認知症が疑われるケースだが、一歩間違えば大きな事故につながりかねなかった。

 セコムがこのサービスを始めたのは01年で、累計の解決事例は5400件。実際には法人や個人の契約者自らが1日計14万件の位置検索アクセスを行っているという。

真ん中のボタンを押せば異常を通報できる

 サービスのスタート時は車上荒らしが多く、車の中に端末をおいて盗難に備える利用者が目立ったが、最近は毎日登下校する子供や自宅に戻れなくなる認知症高齢者の安否を気に掛ける家族が増えており、また1台の端末を家族ぐるみで使いまわす事例も目立つという。

 セコムはGPSと通報機能に加え通話機能も付いた専用端末で高齢者の緊急時に警備員が駆け付ける新サービスも4月から始める。この「セコム・マイドクタープラス」と呼ばれるサービスは、あらかじめデータセンターに病歴やかかりつけ医、家族の連絡先をなどの情報を登録しておく。「ココセコム」が認知症の人など自分からは連絡できない人を主な対象としているのに対し、新サービスは体に不安を抱えているものの自ら連絡ができる人向けという。

 GPSなどITの活用は、地域の横のつながりだけでは対応できなくなった高齢者の安全を確保する上で、貴重な見守りシステムとなりそうだ。

2013年3月