認知症ドライバーの事故急増
「早期発見が大切」

千葉でシンポジウム

講演する浦上克哉・鳥取大教授

 高齢者人口の増加とともに認知症のドライバーによる交通事故が目立ち始めている。その対策を考えるシンポジウムが千葉で開かれた。毎日新聞の3月21日付千葉版に掲載された記事を転載する。

 千葉市中央区の京葉銀行文化プラザで3月20日、開かれたシンポジウム「高齢者の認知症予防と交通安全」(毎日新聞社主催、千葉県、JAF千葉支部、高齢者安全運転支援研究会、認知症予防財団、千葉テレビ後援)では、増加する高齢者の交通事故の現状や対策などが議論された。自動車が移動手段として欠かせないものになっている半面、高齢化が急速に進む中、認知症の免許保有者への対応などが重要な課題となっており、パネリストらが早急な対策を訴えた。

 昨年の千葉県内の交通事故による死者は175人で、うち半数近い83人が65歳以上だった。また、65歳以上の10人に1人が認知症とも言われ、認知症の免許保有者は増えている。

 シンポジウムでは、鳥取大の浦上克哉教授が「認知症の基礎知識と運転への影響」と題して基調講演。認知症ドライバーの事故が急増していることや、認知症は薬物治療、心のケアなどで症状の進行を予防できると指摘。「早期発見が大切」と強調した。

パネルディスカッションでスピーチをするパネリストたち

 その後、開かれたパネルディスカッションでは、浦上教授のほか、認知症予防財団の電話相談員で臨床心理士の中田京子さん、フォトグラファー・ライターの大山顕さん、JAF Mate編集長の鳥塚俊洋さんが参加した。

 中田さんは「認知症の高齢者を持つ家族から、運転をやめるように説得しても本人が聞いてくれないなど家族の葛藤をうかがわせる相談が増えている」と指摘。大山さんが「運転禁止を強制すると、生活が成り立たなくなる人もいる。交通機関が整っていない地域では、認知症の人が住みやすい街づくりとセットで考えるべきだ」と問題提起すると、浦上教授も「医療だけで支えるのは不可能。免許を返納した人がスーパーに行かなくてもいいように自宅近くまで食料品を売りに来るシステムなども考えることが必要」とした。

 鳥塚さんは「自動車教習所の高齢者講習などを利用し、迅速で的確に認知症の人を把握できるようにすべきだ。重症度に応じて免許証交付を検討することが必要で、運転を長く続けられるようにする対策を考えなければいけない」と語った。

2013年4月