シンポジウム「認知症と向き合う」--福島・郡山

 認知症について考えるシンポジウム「認知症と向き合う」(認知症予防財団、毎日新聞社、福島民報社主催、アフラック<アメリカンファミリー生命保険会社>協賛)が11月28日郡山市のビッグパレットふくしまで開かれました。認知症介護に関心を寄せる県民350人が詰めかけ、専門家の基調講演や特別講演、パネルディスカッションを通して認知症への理解を深めました。

食事、歩行、会話で予防
基調講演 国立長寿医療研究センター内科総合診療部長 遠藤英俊さん

えんどう・ひでとし 独立行政法人国立長寿医療研究センター内科総合診療部長
えんどう・ひでとし 独立行政法人国立長寿医療研究センター内科総合診療部長。名古屋大学医学部大学院修了。1990年米国国立老化研究所客員研究員、93年国立療養所中部病院内科医長。日本認知症学会理事、聖路加看護大学臨床教授。主な著書に「よくわかる認知症Q&A」など。

 健康寿命を延ばし、介護や医療をする時間を短くしたいというのが私たちの目標です。計算式があり、健康寿命から「非自立」(医療や介護が必要な時間)を引いた時間は、男性72歳、女性78歳です。今、男の平均寿命は79歳ぐらいですから約7年間、女性の平均寿命は86歳なので約8年間介護を必要とすることになります。ちょっと長い。1週間入院してポックリ逝くのが僕の理想です。

 健康で生きるにはどうしたら良いか。老化のはしりは70歳ぐらいからです。老化を見つけるポイントは、握力の低下と歩くスピードが遅くなること。では、どう老化を予防したらいいのか。逆に、歩くことです。長い距離を速足で歩くことが70歳から大事なのです。二つ目は魚、野菜、果物などバランスの良い食事。10年前、野菜ジュースを毎日1本飲むと認知症になりにくいという研究が出ました。僕らは無理だよと言ってきましたが、最近はどうも本当らしいとわかってきた。もう一つは社会活動です。人と交わる参加型活動が大事です。閉じこもりは良くない。1週間に2日以上は家から出ることです。買い物でも公民館活動でも何でもいいから外に出てください。生きがいや夢を持つのも大事です。東京オリンピックまでは生きようというお年寄りは結構多いです。

リスク軽減のポイント

野菜、果物などバランス良く
週3回、30分〜1時間を速足で
生活習慣病、きっちり治療を

 我が国の認知症患者は予備軍も含めて約800万人。高齢者人口の約3割を占める。認知症は病気なので診断と治療が必要です。「あれ、これ、それ」ばかり言うお年寄りは本音を言うと専門外来に来て診断を受けてほしい。認知症の物忘れと加齢による物忘れとどこが違うのか。「あれ、これ、それ」はまだ大丈夫、財布を1日中捜している人もまだ大丈夫、ところが出来事をすっぽり忘れるのが認知症の物忘れです。例えばシンポジウムから帰宅して「どこに行っていたの」と聞かれ「どこにも行っていない」と答えたら、これは病気です。大体の方が「年のせいだ」と言って診断が2、3年遅れます。早期診断で発病がわかれば進行を遅らすことができるのです。

 認知症疾患医療センターでは検査に1時間ぐらいかかるので予約を取って行ってほしいです。そこで頭のMRI(磁気共鳴画像化装置)と脳の血流検査をします。画像診断によってアルツハイマーか、脳血管性認知症か、レビー小体型かを診断していきます。アルツハイマーであれば、4種類の薬があり、これを組み合わせて1年ぐらい進行を遅らすことができます。1年遅らすと、本人も介護する家族も相当楽になります。

 認知症予防のポイントをまとめますと、まず食事。野菜、果物など体に良いものを食べましょう。それから週に3回、30分から1時間速足で歩きましょう。3番目に生活習慣病をきっちり治しましょう。4番目が1日30分以上、家族か仲の良い友達と会話をしましょう。楽しい会話は血流を増やします。この四つを守ると、認知症になるリスクが10〜20%減じます。

2014年1月