認知症予防シンポ13年度報告書
歌と笑み 予防効果 実例を交えて解説

 認知症予防シンポジウムの2013年度報告書「認知症と向き合う」が3月1日に発売された。今回のサブタイトルは「歌と笑み」。講師が介護の現場や高座の体験から独自に会得した歌や笑みの効用を説き、専門職ではなくともいい介護が可能なことを実例を交えて話した特別講演などとともに収録している。

 報告書はアフラックの協力で1993年から毎年2〜3カ所開催している地域連続シンポジウムの基調講演や特別講演、パネルディスカッション、質疑応答などのすべてを同時録音し、これを基に編集して各年度ごとに全文を掲載している。

 昨年7月の富山会場では、鳥取大学の浦上克哉教授が「認知症予防の最新情報」と題し基調講演。認知症は老化現象と思って病院へ行くのを躊躇(ちゅうちょ)する人が多いが、早期発見することが重要と説き、鳥取県琴浦町で行われている「物忘れ相談プログラム」によって認知症予備軍の人が予防教室に通い、いい状態を持続している実例を紹介、平成20年に介護保険の費用を7800万円削減したと報告した。また自分でできる予防対策として短歌や俳句を作ること、日記を書くこと、運動や笑うこと、さらに嗅神経を効果的に刺激するアロマセラピーを勧めている内容などが紹介されている。

 続いて、そろばんの木谷綜合学園副学園長を務める傍ら、両親の介護をきっかけに音楽ボランティアの会を結成し、病院や老人保健施設への慰問を続ける木谷泰子さんが「“人生、ありがたいこっちゃ”で生きる」のタイトルで特別講演。時折歌を交えながら、母を介護するため客と語らえるサロンのような雑貨屋を開設し、近所の高齢者が集まる場になったこと、多くの人に見守られての介護で自身がノイローゼになることが避けられ、一人で抱えないことの大切さを学んだエピソードを紹介。周りの人に優しくすることを心がけ助け合いましょうと呼びかけている。

 一方、昨年11月の郡山会場(福島)では国立長寿医療研究センター内科総合診療部長の遠藤英俊さんが「健康長寿と認知症予防」と題し基調講演。認知症予防の観点から人と交わる参加型活動が大事と説いた上で、予防のポイントとして野菜、果物など体に良いものを食べること、週に3回、30分から1時間、速足で歩くこと、3番目に生活習慣病をきっちり治すこと、さらに4番目として1日30分以上、家族か仲の良い友達と会話すると楽しい会話が血流を増やすことを挙げ、この四つを守ることで認知症になるリスクが10〜20%減じると話している。

早期発見の大切さ、予防策の最新情報も紹介

 特別講演の日本フィランスロピー研究所長・渡辺一雄さんは社会貢献をテーマに話を進め、大手電機メーカーのアメリカ子会社社長時代にそれが偽善だと思っていた考え方を強く修正せざるを得なかった体験を披露。全米少年野球大会で球場の真ん中でアメリカ国歌を歌わされ、うまく歌えないでいると、子供の歌声が一塁側からも三塁側からも聞こえてきて、やがて球場の2000人が一斉に歌い出し、終わるとものすごい拍手。思わずマイクをつかみ「ありがとう」と頭を下げているうちに涙が流れて体が震え出した。「ボランティアの報酬は感動で、その感動は生きている証明。人の喜ぶ姿を見て自分も喜ぶことこそが最高の幸せ」と結んでいる。

 2回の基調講演は早期発見の大切さや自分でできる認知症の予防策の最新情報を、また特別講演では介護を一人で抱え込みがちな人たちに斬新なヒントを与え、さらに人に施すことで自分も生かされていることを伝える内容となっている。

 1部1000円(税込み)。問い合わせは本財団(電話03・3216・4409)へ

2014年3月