トピックス

心身 健やかな老後に 「ハッピー・エイジング・フォーラム」本格稼働へ

若年性認知症発症抑制を研究

 産・学の連携で「幸福寿命社会」の実現を目指すプロジェクト、「ハッピー・エイジング・フォーラム」が2019年から本格的に稼働する。社会貢献活動の一環として、加齢による心身機能の低下を早期に予防することを目的としている。同フォーラムの「アルツ部会」は、認知症予防財団会長の新井平伊・順天堂大大学院教授が座長を務め、若年性アルツハイマーなどの発症抑制を研究する。

 幸福寿命とは、介護を受けずに老後を暮らせる期間「健康寿命」をよりよく進化させたものをイメージしている。ハッピー・エイジング・フォーラムの発足は、順天堂大が東急不動産グループの協力を得て15年に始めた寄付講座「ジェロントロジー(老年学)医学・健康学応用講座」がきっかけ。同講座は「超高齢化社会を幸せに生きる」をテーマとしているが、幸福寿命を追求する研究の進展を目指し、18年10月に寄付講座代表の佐藤信紘・順天堂大名誉教授と東急不動産の金指潔会長が共同座長となってフォーラムを立ち上げた。フォーラムは「健康増進総合部会」「ロコモ部会」「アルツ部会」の3部会で構成される。

 従来の寄付講座での研究が身体のロコモ(虚弱化)予防中心だったのに対し、新フォーラムは「心」も重視し、認知症の予防や軽減にも力を入れる。アルツ部会では、アミロイドPETや頭部MRIなどの検査を組み合わせた最新の「健脳ドッグ」を採用、75歳未満の人を対象に、認知症の発症リスクを検査する。軽度認知障害(MCI)と診断された人には、先端薬の治験に加え、運動、絵画療法、食事指導などの非薬物療法を試み、アルツハイマーの発症を予防する手立てを研究する。また、上智大学との共同研究で老人ホームに入居する人の「幸福感」を、認知機能や精神機能とともに調査する。その後の経過も追跡し、認知症の発症率などを調べる。

 調査結果は政府系の日本医療研究開発機構(AMED)などにも提供し、国の認知症研究開発事業を支援する。認知症予防財団は一連の計画に賛同し、啓発などに協力していく。アルツ部会の新井座長は「早期に認知症リスクを発見しても、発症を食い止める対策がなければ意味がありません。対策に重点を置くのが今回の研究です」と話している。

2019年1月