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一般病院で「身体拘束」経験45% 認知症の入院患者調査

 一般の病院に入院した認知症の人のうち、45%が身体を自由に動かせないようにする「身体拘束」を受けていたことが、国立がん研究センターと東京都医学総合研究所の研究チームによる調査で分かった。

 身体拘束は介護施設では原則禁止され、精神科病院でも限定的に容認されているだけ。一方、医療スタッフに委ねられている一般病院では、転倒を避けることなどが目的とはいえ、過剰な身体拘束が少なくないとも指摘されている。このため研究チームは昨年2~3月、全国の一般病院3446カ所(病床数100以上)に調査票を送り、937カ所から回答を得た。その結果、認知症かその疑いのある入院患者2万3539人中、45%にあたる1万480人が何らかの身体拘束を受けていた。

 その内訳(複数回答)は、多い順に①「ベッドから降りられないよう柵で囲む」69%②「車いすにベルトなどで固定する」28%③「点滴などのチューブを抜かないよう(親指だけが離れた二股の)ミトン型手袋を着ける」26%--など。「チューブを抜かないよう手足を縛る」は5%、「徘徊防止で胴や手足を縛る」も4%あった。

 ひもや帯などを使った拘束に限定しても、28%にあたる6579人が該当していた。拘束理由は、①「転倒・転落のリスク」47%②「チューブを抜くリスク」14%③「チューブを抜いた」10%――の順だった。

 拘束は身体機能の低下に加え、認知症を進行させる可能性が指摘されている。研究チームは不必要な拘束を減らすよう提言している。

2019年3月