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平塚市の認知症専門医の生家を「認知症啓発」の場に

300万円をクラウドファンディングで募集

繁田さんの生家

 神奈川県平塚市で、空き家となっている認知症専門医の生家を、認知症になっても安心して暮らすことができるまちづくりの情報発信拠点に生まれ変わらせるプロジェ クトが進行している。7月7日のオープンを予定しており、改修に必要なお金の一部300万円をインターネット経由で集めるクラウドファンディングで募っている。

 中心になっているのは、東京慈恵会医科大の繁田雅弘(しげた・まさひろ)教授と、在宅医療も行っている湘南いなほクリニックの内門大丈(うちかど・ひろたけ)医師だ。市立野町にある築50年の繁田さんの生家を改修、「SHIGETAハウス」と名付けた施設に衣替えし、だれもが集えるカフェや認知症を広く知ってもらうための場所とする。

 認知症になると、住み慣れた地でも居場所をなくし、自宅に閉じこもってしまう人は少なくない。地域の人たちの認知症に対する誤った理解が、そうした状況を生んでいる。認知症専門医の第一人者でもある繁田さんは、「認知症になってよいまち」づくりを平塚市から始めることを目指し、生家を認知症の啓発の場として活用してすることを思いついた。賛同した地元の医師、看護師、介護関係者やライターなど各分野の専門家も続々集まり、計画はスタートした。

 繁田さんの生家は、茶室「栄樹庵」や15畳の大広間なども備えた風情のある日本家屋。ただ、雨漏りはするし、バリアフリーにもなっていない。トイレなどの改修も必 要な状態だ。リフォームには総額530万円が必要で、このうちキッチンやトイレなど水回りの改修費300万円分について、クラウドファンディングで募集することに した。

 計画では、7月7日から毎週火曜日にカフェを開くのを手始めに、9月からは第2火曜日に繁田さんが講師になって勉強会を開く。認知症に関する本や映像を集めた図書室もつくる。とりわけ地域での居場所を失いがちな若年認知症と診断された人の集いを開いていくほか、夏休みには子どもたち向けに地元産の野菜を使った「300円レストラン」をオープンする。プロジェクトの詳細、クラウドファンディングへの応募(6月21日午後11時まで)はこちら へ。

2019年4月