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信託銀、新サービス 認知症の人の資産管理

 認知症の人の資産管理に関心が集まっている。認知症になると本人の預金口座が凍結され、家族でさえ生活費などを下せなくなる恐れがあるためだ。こうしたなか、大手信託銀行は認知症の人の資産管理に関わる新サービスを次々と始めている。

 認知症の人の増加とともに、認知症の人の資産も膨らんでいる。2030年には今の1・5倍、215兆円に達するとの試算もある。認知症の人の資産を生かすため、親族が弁護士などの後見人を立てることも多い。しかし、後見人による流用や、使途などを巡る親族間のトラブルも珍しくない。

 先行したのは、3月に「つかえて安心」を発売した三菱UFJ信託銀行だ。預金者が認知症になっても、あらかじめ指定を受けた代理人はスマートフォンで専用アプリを使ってお金を下ろせる。代理人は医療費など本人のために使った費用の領収書を撮影し、銀行に送る。使途内容は登録した親族らにも通知される。5日間の「みまもり期間」内に親族らから異議が出なければ、銀行はお金を払い出す。

 三井住友信託銀行は6月に「100年パスポート」を発売した。特殊詐欺に備える「防犯あんしん」、指定した生活費などを定期的に受け取る「ねんきん受取」のほか、医療費などの「まかせる支払い」、さらに将来の相続「おもいやり承継」の4機能を一括したサービスとしている。

 9月にはみずほ信託銀行が「認知症サポート信託」を始めた。契約時ではなく、銀行に認知症の診断書を提出した段階で初めて本人による資金の払い出しを制限するのが特徴。代理人の請求に対しては、銀行が払い出しの可否を判断する。事前に指定した額を毎月普通預金口座に振り替え、公共料金の支払いなどに使えるようにするサービスもある。

2019年10月