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認知症予防法 効果検証へ 成田市、産官連携で教室

講演する朝田名誉教授

 千葉県成田市は認知症予防研究の第一人者、朝田隆・筑波大名誉教授が監修する産官連携の介護予防教室「人生カッコよくプロジェクト」をスタートさせた。朝田氏は民間企業・団体の協力を得て認知トレーニング(脳トレ)や運動など複数の予防プログラムを65歳以上の市民に半年間提供し、効果を検証する。新型コロナウイルス感染症が終息していない中、オンラインでも配信し、新たな認知症予防モデルの創設を目指す。

 朝田氏は長年、脳トレやフレイル(身体の虚弱化)対策などの認知症予防を研究してきた専門医。ただ、単一のプログラムだけでは効果に限界があると感じ、「MCI(軽度認知障害)リング」と名付けた、対象者の状態や要望に応じて複数の予防法を組み合わせる手だてを模索していた。そこに成田市が着目したという。

筋トレに挑戦する成田市民の方々

 現在はコロナ禍により、多くの人を集める集合型の検証は難しい。それでも外出機会の減少で認知症状が悪化する高齢者の急増が懸念されていることから、ネットを通じたオンライン型の併用を決めた。

 プログラムの提供元は、ニッセイ情報テクノロジー(東京)、知の啓発社(茨城県守谷市)など5企業・団体。タブレットを使う最先端の脳トレのほか、筋トレ、美術や音楽の創作を学べる動画など各社が認知症予防法として開発した商品を提供する。市民は半年間、関心のある複数のプログラムに継続して取り組む。朝田氏は受講者の認知・身体機能の改善度を調べる。

 初日の9月18日は市民約50人が会場の成田市役所に集まった。講演した朝田氏は「認知症はこれまでの生活の総決算。それだけに予防の効果が期待できる」と訴えた。その後、市民は専門家の指導を受けながら筋トレや脳トレに挑戦した。

 今回、同市の公民館などで開く集合型は「3密」を避けて人数を絞り込む。半面、オンライン講座はネットだけでなく高齢者になじみのあるケーブルテレビも使い、多数の参加を見込む。朝田氏は「コロナ禍で『認知症パンデミック(大流行)』の危険性を指摘する声もある。新しい生活様式に沿った予防法をアナログ、デジタルの両輪で切り拓いていく」と話している。問い合わせは同市介護保険課(0476・20・1545)へ。

2020年9月