トピックス

「生活や様子に変化があった」7割
新型コロナで困ったことは~家族の会東京都支部アンケート

 新型コロナウイルス感染症の終息にメドが立たないなか、「認知症の人と家族の会」東京都支部(大野教子代表)は、会員を対象に「コロナ禍において、介護で困ったことのアンケート調査」をした。介護をしている人のうち、「本人の生活や様子に変化があった」と答えた人が70・7%に達した。「この先心配なこと」については、多くの人が自分が感染源になってしまうことを挙げ、本人の認知症の進行や面会謝絶などによる家族とのつながりの喪失などを懸念する人も目立った。

 調査は7月22日から8月6日に郵送で実施し、家族や介護職の人ら58人(男性13人、女性43人、不明2人)から回答を得た。介護中の人は32人で、他は介護を終えた人らだった。

 「本人に変化があった」と答えた人に具体例を聞くと、「孤立している」「20年来通っていたスポーツセンターが利用中止になり、生活のはりを失った」といった声や、「立ち上がれなくなった」「かみ合う会話がなくなった」など、身体や認知機能の低下を訴える人が多かった。

 次に、緊急事態宣言中に介護で大変だったことを尋ねたところ、43・9%が面会制限など「入院・入所中のこと」と答え、31・7%は「症状への対応、症状の悪化」を訴えた。具体的には、「本人にマスクの着用などの感染予防の必要性を理解してもらうことが難しい」(50代女性、専門職)、「外出できず、互いにストレスが生じた」(70代女性、家族)、「せん妄状態になった」(60代女性、家族)といった声が相次いだ。さらに、施設の専門職(50代女性)からは「宣言中も支援を要する認知症の人と、利用を自粛してもらっている利用者の方の間に溝が生じないか」との不安や、職員の心身の負担の増大、人員確保の困難さを指摘する声が続いた。

 緊急事態宣言の解除後、現時点で困っていることも聞いた。「面会制限が続いている」「カラオケでの感染が怖く、デイサービスに通わせる気になれない」「コロナで退職し、経済面で不安」などのほか、「職員がいる環境では『新しい生活様式』に対応できても、1人の時は徹底できないのでは」(50代女性、専門職)、「コロナで入院したら(介護面での)対応が望めず、最悪の状態になると思う」(70代女性、家族)という見方も示された。

 「この先の不安」では、「私が感染したら、本人の介護を誰に託したらいいのか」「親にうつしてしまったら」など感染に関するものが多数を占めた。このほか、「医療・介護の体制崩壊」「知人との交流を復活する前に死んでしまうのでは」「人とのふれあいのある生活を忘れてしまう」「認知症や心の病の人が取り残されたままポストコロナ社会が進むこと」などの記入も目についた。

 最後に「どのような対応があれば安心か」を問うと、「政府にコロナの最大の被害者が高齢者であることをもう一度認識してもらいたい」「家で入浴サービスを受けられればよい」「入所中に死期が迫った場合、発熱等の症状がなければ面会を許可してほしい」などの要望が寄せられた。

2020年9月