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国際アルツハイマー病協会が20年版報告書

認知症の人にやさしい建築デザインを

 「国際アルツハイマー病協会」(ADI)は2020年版の報告書を作成した。テーマは「デザインと建築環境」。「認知症の人のためのデザインのガイドラインなどは身体障害者の人向けのものに比べて30年ほど遅れている」と指摘し、自宅や介護施設、公共施設などに認知症の人にやさしいデザインを早急に導入することが必要と提言している。

 ADIは世界各国の認知症関連団体が参加する国際組織。1994年から世界保健機関(WHO)と共同して毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と定めている。09年より毎年、「世界アルツハイマー報告書」を発行しており、20年版では認知症の人が生活する場に認知症の人向けのデザイン導入を進めるよう各国政府に求めている。

 日本からは、医療コンサルタントのメディヴァ社(東京都世田谷区)が寄稿。「日本における認知症デザインとその学びからの知見」とのタイトルで、日本の事例を報告している。トイレの位置がひと目で分かるよう大きなイラストと文字で案内し、トイレのドアの色には壁の色とコントラストをつけるなど、同社が東急不動産グループの高齢者住宅「グランクレール世田谷中町」などで手がけたデザインを紹介するなどしている。

 報告書を作成した一人、リチャード・フレミング・ウーロンゴン大学教授(豪州)は「ここ40年ほどで認知症デザインの知識は蓄積してきている。認知症の人のためのデザインをより多くの建築士や設計士、デザイナーにチャレンジしてほしい」と訴えている。

報告書(英語版)は
https://www.alz.co.uk/research/world-report-2020
からダウンロードできる。

2020年12月