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アミロイドβ42毒性コンホマー 無症状段階でアルツハイマー病発症促進の可能性 小野教授らが発見

 昭和大学の小野賢二郎教授らの研究グループは京都大学の入江一浩教授らとの共同研究で、アルツハイマー病(AD)の原因たんぱく質とされるアミロイドβ(Aβ)の一種、Aβ42毒性コンホマーが、まだプレクレニカルAD(無症状)の段階から脳内で増加していることを突き止めた。また、同じくADの原因物質とされるタウたんぱくの量は、同コンホマーの量に比例して増えていることも明らかにした。

 ADはAβが20〜30年かけて脳内にたまり、さらにタウたんぱくも絡むことで神経細胞がダメージを受けて発症するとみられている。Aβの中でもAβ42は毒性が強いと考えられている。小野教授らはAβ42のうち特に凝集性が高く毒性が強いとみられるAβ42毒性コンホマーに着目。同コンホマーを認識する抗体を使い、健常な人、脳内に異常たんぱくはみられるが症状はない人(プレクリニカルAD)、軽度認知障害の人、アルツハイマーの人について、それぞれ脳脊髄液中のAβ42総量とAβ42毒性コンホマー、タウたんぱくの量を調べた。

 その結果、Aβ42総量に占める同コンホマーの比率は、プレクリニカルADの段階で既に健常な人より高くなっていた。また、同コンホマーの比率はプレクリニカルADの人よりADの人の方が高く、さらに同コンホマーの量が多いほど、認知機能の低下と相関するタウたんぱくも増える関係にあることがわかった。

 研究グループはAβ42毒性コンホマーがAD発症前から増えることで発症を促進させるとともに、タウたんぱくの増加にも関与して症状の悪化を加速させている可能性がある、と指摘している。

 小野教授らは研究成果を国際学術誌、Journal of Alzheimer’s Diseaseに発表した。

2021年2月