トピックス

認知症の人と家族の会がガイドブック作成

 公益社団法人 認知症の人と家族の会(本部・京都市、鈴木森夫代表理事)は、認知症のことをより深く理解したい人、認知症の人や家族を支援したい人向けのガイドブック「認知症の人と家族の思いをより深く知りたいあなたへ」を作成した。認知症に関する医学的基礎知識、認知症の人の暮らしや家族の状況、認知症の人とともに地域で安心して暮らすための取り組みなどについて、イラストを添えて詳しく説明している。

 家族の会は昨年度、「認知症の人と家族の思いと介護状況および市民の認知症に関する意識の実態調査」を手がけ、認知症の人が診断を受けた時の気持ちや、生活、仕事の変化、さらに家族の介護への思いなどについて詳細に調べた。この調査結果を基にガイドブックでは、認知症になるかもしれない全ての人に伝えたいこととして、①認知症についてあらかじめ知っておいてほしいこと②認知症のある私に声かけする時に気をつけてほしいこと③診断を受けた時に備えて心の準備をしておいてほしいことーーを挙げている。①は、働きたい気持ちややりたいことがまだまだあること、②はゆっくり、優しく静かに話してほしいこと、③では自分の可能性を信じ、他の人に頼ることなどを、認知症の人本人の言葉として紹介している。

 同会の昨年度の調査では、認知症を社会全体で支え、認知症であることを隠す必要がないと考える人が増えていることが分かったという。こうしたことを受け、ガイドブックでは認知症の人を支援するという考えでなく、「ともに」生きるという意識を持つ重要性を指摘している。また、介護費用にどのくらいかかり、どうやりくりしているか、介護家族の7割以上が何らかの疾患を抱えている実態などにも触れている。介護家族から聞き取った体験をもとに、認知症が心配になったときに自分の認知機能の状態を点検できるチェックシートも掲載されている。

 A4判32ページ。全国の地域包括支援センターやもの忘れ外来のある病院など1万カ所に配布している。希望者には無料で配る。家族の会のホームページ(https://www.alzheimer.or.jp/?p=37271)よりダウンロード可能だ。

2021年2月