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認知症予防カフェ/東京・四谷にオープン

予防カフェ

 東京・四谷(左門町)に4月、認知症予防カフェ「ハッピーエイジングカフェ」がオープンした。軽度認知障害(MCI)の人、物忘れが気になり始めた人や家族など、だれでも予約なしに訪れることができ、各種ゲームや映画鑑賞、筋トレなどのプログラムに参加できる。スタッフや参加者とのサロンでの交流も織り込まれており、さまざまな角度から認知症の進行予防に取り組むことができる。

 開設したのは、東京駅直結のビル内で「アルツクリニック東京」を開業する認知症の権威、新井平伊院長(順天堂大名誉教授)だ。妻の新井礼子医師が院長を務め、画像診断装置を配置している「アルツクリニックPETラボ」(新宿区左門町20)内の約300平方㍍の空きスペースを活用。月~金曜日の午前(午前10時~午後0時半)と午後(午後2時~4時半)に2時間半ずつ、囲碁や将棋など対人型のゲームを楽しんだり、効果的な体操の指導を受けたりできる。施設内には映写室もある。

 映画の感想を語り合うほか、放映を途中で止めてその後のストーリーを推測し合うなどして脳の活性化を図る。オープン当初は筋トレや絵画などの教室だけだったが、音楽、栄養、英語などの教室も順次開いていく。

 厚生労働省によると、2012年時点でMCIの人は約400万人程度とみられている。25年には認知症の人が700万人を超え、65歳以上の5人に1人に達すると推計されているが、進行をより遅らせることができれば、こうした予測を覆すことも可能だ。

 新井平伊院長はクリニックで認知症の原因物質とされる毒性たんぱく、アミロイドβの蓄積をPETによって微量な段階から発見できる「健脳ドック」を実施している。PET検査によってMCIと診断された人たちに進行予防にチャレンジしてもらう場として、カフェを開くことにした。「せっかく早期に発見できても、家でぼーっと過ごしてしまう人もいる。健脳ドックのフォローとして進行を防ぐ実践の場としたい。予防を前面に出したカフェは全国的にも例がないと思う」と話す。

 もちろん、参加者は患者に限らず、近所の人や情報を知った人がふらっと訪れてもいい。半日2時間半の利用で料金は1人1500円。オープン初日の4月2日、妻と訪れた50代の男性は「予約なしでいいのがうれしいですね。仕事以外で多くの人と出会い、いろんなことができそうで、とても楽しみ」と話していた。

 カフェでは、上智大学心理学ゼミによるプログラムも予定されている。6月末には認知症の人と家族の会東京支部の事務局との共同運用も始まることになっており、同支部の大野教子代表は「カフェや上智大学の研究活動のお手伝いを通じて、私たちの活動の幅が広がる。大変ありがたいことです」と喜んでいた。

 問い合わせはカフェ専用電話(070・1067・3512)へ。

2021年4月