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24年度介護報酬改定/認知症チームケア推進加算新設

 厚生労働省は昨年末に1・59%の引き上げを決めた2024年度の介護報酬(40歳以上の保険料、税、利用者負担から介護事業所に支払われるお金)について、配分方法を示した。人材確保策として介護職の賃金アップに0・98%分を回すことが柱。認知症関係では、行動・心理症状(BPSD)に早期対応するなどした施設を対象に、利用者1人当たり最高で月1500円の「認知症チームケア推進加算」を新設する。

 22年の介護職の月額平均給与は全産業平均より7万円低い約29万円。これが人手不足の一因とされており、6月から処遇を改善する。賃上げ税制分なども含め24年度は2・5%(月約7500円)、25年度は2・0%(月約6000円)のベースアップを目指す。

 24年度改定では、特別養護老人ホームなど施設系サービスの基本報酬を増額した半面、ヘルパー派遣などの訪問介護は減額した。

 具体的には、特養の個室利用の場合、1日当たりの基本報酬を240円増の8860円(要介護4)などとする一方、利用者宅などに介護職員を派遣し身体介護を提供する場合、1回当たりの報酬を40円減の1630円(20分未満)に下げた。掃除や洗濯など生活援助サービスも40円引き下げ1790円(20分以上45分未満)とした(利用者の自己負担はこの金額の原則1割、報酬1単位10円で計算)。

 同省は今回の報酬改定で政府の大方針でもある「地域包括ケアシステムの深化・推進」を真っ先に掲げた。住み慣れた地で最期まで暮らせるよう地域内で助け合う仕組みで、その一環としてヤングケアラーへの支援や中山間地に住む重度者への訪問介護充実を打ち出している。しかし、訪問系の身体介護や生活援助サービスの切り下げに対しては「国の方針に矛盾している」との批判が出ている。

 賃上げ以外の人手不足対策としては、ICT(情報通信技術)化を重視。入居者を見守る機器を複数導入するなどして条件を満たす施設には、利用者1人当たり月1000円を加算する。また認知症対応として、通所や訪問、宿泊など多様なサービスを手がける小規模多機能型居宅介護を充実させる。認知症ケアの専門研修を受けた人を配置するなどした場合、利用者1人当たりの月額加算を1200円増の9200円とする。

 施行は基本的に4月1日からだが、訪問看護、訪問・通所リハビリテーションなどは、診療報酬改定にあわせ6月1日からとなる。

◆2024年度介護報酬改定で見直される主な料金◆
・介護職(ケアマネ、リハビリ職らも含む)の賃金を月額約7500円底上げ(24年度)
・特養の個室利用料を1日当たり8620円から8860円に引き上げ(要介護4の場合)
・通所介護 1回当たり1万180円から1万230円に引き上げ(通常規模の施設で7時間以上8時間未満、要介護4の場合)
・訪問介護(身体介護、20分未満) 1回1670円から1630円に引き下げ
・訪問介護(生活援助サービス20分以上45分未満) 1回1830円から1790円に引き下げ
・8月から介護施設入居者が自己負担する居住費(高熱水費に相当)を施設の類型を問わず1日当たり60円アップ(現在負担0円の低所得者は据え置き)

2024年2月