高齢者にとって「身じまい」は切実な問題だ。しかし、高齢の単身世帯は増える一方。家族の支援を受けられないまま何をすればいいかわからず、本人の生前や死後に問題が生じるケースは少なくない。日本総合研究所はこうした現状に着目し、10月に「SOLO(ソロ)サポート研究会」を発足させた。一人でも身じまいできる社会づくりにつながる高齢者向けの支援サービスを、ビジネスとして成り立たせることを目指す。
見守りや生活支援、金銭などの信託、死後の事務手続き……。高齢者の身じまいにかかわることは従来、同居家族が担ってきた。
しかし、単身高齢者の増加に伴ってそれも難しくなってきている。手術に同意する意思表示ができず治療を受けられない▽ゴミを捨てられず家がゴミ屋敷に▽退院後の生活のための手配ができない▽保証人不在で施設に入れない▽死後の手続きをする人がおらず無縁仏にーーこうした困りごとは本人ばかりでなく他の人にも負担をかけることになる。
それでも、一定以上の資産がある人はさまざまな民間の支援サービスを受けられる。また、低所得の人や判断能力が十分でない人には公的な福祉・介護サービスがある。これに対し、富裕層でも困窮層でもなく、判断能力にも問題がない残りの多数の人は「支援のはざま」に取り残されている、というのが日本総研の認識だ。同総研の試算によると、「支援のはざま」にいる高齢者は2467万3000人で、65歳以上人口の約68%を占めるという。
中高年層の多くは、身じまいの必要性については認めている。50〜84歳の人を対象とした同総研の2023年の調査では、「自分の病気や要介護、死亡時に周囲の人が手続きできるよう備えたいか」との問いに90.6%の人が「そう思う」「ややそう思う」と答えている。ところが、備えとして既に他の人に具体的な依頼をしているかを聞くと、「日常生活に必要なこと」を依頼済みの人は7.5%、「亡くなった後の財産や家財の処分」を依頼済みの人は8.8%にとどまっている。
身元保証や死後事務などの既存のサービスは家族によるサポートを前提としており、高齢者が一人で複数のサービスを組み合わせて身じまいを進めるのはハードルが高い。また自治体と民間は守備範囲が異なり、それぞれ単独で問題を解決するのは難しい。日本総研は、今の状況を放置すれば本人だけでなく家族や社会にも大きな負担になるとして、身じまいに踏み出せない高齢者の支援につながるビジネスモデルを探ることにした。
具体的には、本人の意向や家族、社会との関係性を把握したうえで、サービスを必要とする人にどう働きかけるのが効果的なのかを検討する。さらに既存の支援サービス事例を分析し、自治体と民間企業が連携する際の役割分担や課題などを整理することで、企業の能力や地域特性に応じたビジネスモデルを複数の企業と検討する。結果を踏まえ、26年度以降は参加企業の取り組む事業を日本総研が支援していくという。
2025年10月