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注文を間違えても「ま、いっか」/認知症のある人が接客する定食屋臨時開店

世界アルツハイマーデーに臨時「開店」した「定食屋きまぐれ」

 

 世界アルツハイマーデーの9月21日、東京都江戸川区鹿骨の社会福祉法人自靖会(井口愛理事長)1階のカフェで、認知症のある6人がホールスタッフを務める「定食屋きまぐれ」が臨時に「開店」した。スタッフが注文などを間違えても、客は寛容に受け入れて一緒に楽しむことを目指した。

 「定食屋きまぐれ」は、地域の実行委員会(馬上英樹代表)が8年前から江戸川区内で不定期に取り組んでいる催しだ。今年は一般社団法人「注文をまちがえる料理店」の活動に賛同する団体が全国34カ所で一斉にレストランを開業するイベント「ま、いっかの日」の一環として店を開いた。同料理店はスタッフが注文や配膳を間違えても、「おいしければいいじゃないか」とおおらかに受け入れる人が増えると、認知症になっても安心して暮らせる共生社会づくりにつながる、との考えを基に、アルツハイマーデーを「ま、いっかの日」とすることを提唱している。

 「きまぐれ」は完全予約制。飲み物付き2000円のメニューの内容は、来店してのお楽しみだった。ホールスタッフとして参加した85歳の女性は、「おいしい物が食べられると連れてこられたのに、いつの間にかスタッフになっていた」とお客さんと冗談交じりにやりとりし、「働いてみなさんのお世話ができてうれしい。また参加したい」と笑顔を見せた。また、客としてきまぐれパニーニ(大葉ジェノベーゼ)を味わった東京都品川区の30代女性は「関係者の方に誘われて来ました。この素晴らしい取り組みを地元でも実践してみたい」と話していた。

 当日、スタッフたちは注文を間違えることもなく、心のこもった接客に客席には優しい笑顔が広がった。「きまぐれ」の尾田淳店長は、「ちょっとしたきっかけと、場所、少しのお手伝いがあれば認知症の方もまだまだ働ける場があります。この取り組みをもっともっと広げていきたい」と意気込んでいた。

2025年10月