「第51回わたぼうし音楽祭」開催
「わたぼうし大賞」を受賞し再歌唱するボーカルの原田奈生さん(前列右)、サインボーカルの久保田洋輔さん(前列中央)、作詩者の大矢治美さん(前列左)、作曲した山本享明さん(後列中央)
「第51回わたぼうし音楽祭」(奈良たんぽぽの会主催、毎日新聞社、毎日新聞社会事業団など後援)が8月2日、大和郡山市の「DMG MORIやまと郡山城ホール」であった。約1000人の観客が熱演に聴き入り、最高賞の「わたぼうし大賞」は、千葉市の大矢治美さん(52)作詩、山口県下松市の山本享明さん(68)作曲の「次のステージ」に決まった。【田辺泰裕】
音楽祭は、ダウン症のマリンバ奏者・多田駿介さんによるオープニングアクトで幕を開けた。その後、作詞・作曲の部で入選した8作品が次々と披露された。バンド編成や独唱など演奏の形式はさまざま。生成AIを利用して作った曲に自身の歌をのせる出演者もいた。観客の手拍子や掛け声で会場は盛り上がり、曲が終わる度に拍手がわいた。
審査結果の発表前には、視覚障害のあるシンガポールの歌手クレア・テオさんが歌声を披露した。映画「天空の城ラピュタ」の主題歌「君をのせて」を日本語で歌い、イタリア語や中国語を交えた計4曲を歌った。最後は全員でテーマソング「わたぼうし」を合唱し、会場は大歓声に包まれた。
「次のステージ」を作詩した大矢さんは2009年の第34回に続く2回目の大賞を得た。01年に交通事故で高次脳機能障害を負い、前回は事故からリハビリに励んだ経過を詩にした。
今回は<障害あるなら/ごめんなさい>とパートを不採用になった後、一歩を踏み出して「就労継続支援A型事業所」で働き始めた体験をつづり、<きっと居場所は見つかる>と結んだ。大矢さんは「また大賞をもらえるとは思わず、とにかくびっくりしている」と喜んだ。
作曲した山本さんは「大矢さんは失意や絶望を感じながらも、夢と希望を失わなかった。その志を曲で表現したかった」。ボーカルを務めた山口県周南市の原田奈生子さん(56)は「大矢さんのメッセージをうまく伝えられるか不安だったが、いい演奏ができたと思う」と語った。
音楽祭フィナーレでテーマソング「わたぼうし」を歌う出演者と会場参加者
受賞者は次の皆さん(作品名、作詩者、作曲者の順。敬称略)
わたぼうし大賞、知事賞、ナイスハート賞「次のステージ」千葉市・大矢治美、山口県下松市・山本享明▽文部科学大臣賞、奈良パイロットクラブ賞「これからもよろしく」青森県八戸市・渡辺桃李、東京都中野区・高桑雅信▽奈良市長賞、奈良YMCA賞「弱さを1人にしない場所」浜松市・原田菜々子、千葉県柏市・笠木敦志▽大和郡山市長賞、日産労連ゆうらいふ賞「オーダーメイド」大阪市・山本花恋=作曲も▽日本障害者リハビリテーション協会賞、国際ソロプチミスト奈良賞「見えるって なに?」神戸市・三橋奏太、同・Shohei▽毎日新聞社賞、奈良ゾンタクラブ賞「Happy Birthコウノトリ」同・Birthコウノトリ、同・萩原護▽NHK賞「この世界で」大阪府羽曳野市・近藤己順、横浜市・magatama▽近鉄ケーブルネットワーク賞「僕の声」東京都町田市・太田純平、西東京市・Satoko▽作詩の部入選=大分県別府市・北地恵、大阪府大東市・武上悠希
(2026年8月3日付、毎日新聞奈良版より)