私たち航空整備士は航空部に所属する取材機を整備し、フライトできる状態にするのが仕事です。

　業務は多岐にわたり、日常の航空機の整備をはじめ、書類管理、部品の調達、業者との調整、年間予算の作成、燃料管理、耐空検査受検など、航空機を運航状態にしておくのに必要な業務を全て現場の整備士が行っていますので、整備技術以外にもさまざまなスキルアップができる環境です。

　また、事件や事故が起きれば搭乗整備士として操縦士、カメラマンと共に現場に向かいます。操縦士の隣に座ってフライトすることも多く、チェックリスト読み上げ、見張り、計器監視等を担います。現場では操縦士とカメラマンは取材対象に意識が向きやすいので、取材対象以外に意識を向け、他機の位置の把握や、機体の制限を超えないよう注意しています。

　フライト中に次の取材対象の連絡があれば位置を調べ、操縦士がスムーズに到着できるように支援するのも大事な業務です。離島、山間地や冬山の取材もあり、本当にさまざまな経験を積むことができます。

　印象に残っているのは北海道 知床半島沖で沈没した遊覧船「KAZUⅠ」の引き揚げ取材時です。ヘリコプターで１週間ほど滞在しての取材となりました。途中、悪天候の野外駐機などもあり、長期間一人で機体を確認することにプレッシャーもありましたが、いろいろと工夫をし、無事に東京に戻って来た時は整備士としてのやりがいを感じられました。