記者

一般記者

柳楽 未来

科学環境部

2008年入社

2008年松山支局。警察や裁判、スポーツの取材などを通じて取材の基礎を学ぶ
2011年福井支局敦賀駐在に赴任。「原発銀在」と呼ばれる地域で、原発取材に没頭する
2014年阪神支局で、現在のライフワークの一つであるアスベスト問題に取り組み始める
2016年科学環境部に異動。原子力規制委員会を担当し、主に福島第1原発の廃炉を取材
2018年盲学校の生物の授業に長期密着。取材の内容をもとに、書籍「手で見るいのち」(岩波書店)を出版
2019年医療を担当し、再生医療や遺伝子改変などを取材。年間企画「熱狂ゲノム」にも取り組む

科学の側面から社会の本質に

 2016年のクリスマス、毎日新聞の朝刊に小さな記事が載りました。

 東京電力福島第1原発で前日にあった廃炉作業を伝える記事で、私が東電のプレスリリースをもとに書きました。特に注目されるニュースではありませんでした。

 その3週間後、私はある地方の喫茶店で作業に携わった当時28歳の男性と会いました。より詳しく知りたいと思い、関係者を通じてたどり着いたのです。男性によると、現場は放射線が極めて強く、全面マスクや重さ10キロの鉛ジャケットを身に付けて作業。被ばくを抑えるために作業時間は1人5分に制限され、焦って工具を床に落とした瞬間、冷や汗でマスクが曇ったことなど、厳しい様子が伝わってきます。それでも男性は「誇りをもってやっている」と話しました。

 作業の裏には、厳しい廃炉作業に携わる人たちの苦悩や奮闘、そして原子力の制御がいかに難しいかという本質的な問題がありました。取材内容は改めて大きく記事にしました。

 「科学記者」にどのようなイメージをもたれるでしょうか? 専門知識をいかして難しそうな科学や技術を読者に紹介している、というイメージを持つ方が多いのかもしれません。私は、科学の側面から社会の問題や本質に深く迫っていくことが科学記者の役割だと考えています。そのために現場に向かい、取材を重ねます。

 扱うテーマは、医療、環境、原発、災害、AIなど幅広く、社会と深く関わっています。科学技術は生活を便利にする一方で、安全性や倫理面で新たな問題を生み出します。答えのないテーマを前に、どう取材して伝えるべきか、迷い、悩みます。しかし、社会の本質に迫ろうとするのは、けっこう楽しいものです。

One day

9:30
厚生労働省で専門家会合を取材
12:00
取材先の近くでランチ
13:00
出社して打ち合わせなど。同僚との雑談の中から新しいアイデアが浮かぶことも
15:00
大学の研究者を取材
17:00
企業が主催する勉強会に参加。新しい取材テーマを模索する
19:00
この日は取材先と懇親会。何もない日は帰宅

Q&A

学生時代に打ち込んだことは?
大学院時代は専攻していた物理の研究。
仕事をする上で大事にしていること・ものは?
謙虚であること、新しい分野に挑戦すること、独自性があるかということ。
入社して意外だったことは?
思っていた以上に自由だった。
現在の仕事内容や取り組む姿勢を一言で表現すると?
取材を尽くす。