記者

一般記者

大場 弘行

特別報道部

2001年入社

2001年入社。阪神支局(兵庫県尼崎市)に配属。大気汚染公害やJR福知山線脱線事故を取材
2005年大阪社会部に。府警と府庁を担当。橋下徹氏が府知事になるまでの軌跡を取材
2008年東京社会部に。東京地検特捜部担当として小沢一郎氏の秘書が逮捕された陸山会事件を取材
2011年「サンデー毎日」編集部に。東日本大震災と原発問題の取材に奔走
2014年横浜支局に。川崎市の中学1年の男子生徒が多摩川河川敷で殺害された事件を取材
2016年東京社会部に。調査報道を担当し、キャンペーン報道「公文書クライシス」をスタート
2019年特別報道部に。「公文書クライシス」取材班代表として早稲田ジャーナリズム大賞を受賞

地道な作業の先にあるもの

2019年6月3日朝刊
首相の面談記録 作成せず
官邸災害対策も

 東京都心のバーで旧知の官僚と飲んでいたときのことです。そろそろ帰ろうかと席を立ちかけると、官僚がグラスを見つめたままつぶやきました。「あなたが書いた通りなんです」

 私はこの少し前、こんな記事を書いていました。安倍晋三首相と省庁幹部が官邸で面談した際の記録が残されていない。面談中のメモすら禁じられている。国の重要事案がブラックボックスの中で決められている。これは問題だ――という内容です。菅義偉官房長官は「指摘のような事実はない」と記者会見で否定しましたが、この官僚は私が書いた記事が正しいと伝えてくれたのです。そして、普段は雑談にしか応じないのに、官邸内の実態をポツリ、ポツリと語り始めました。酔いがさめていくのが分かりました。

 私が所属する特別報道部は、独自取材で権力者の不正を暴いたり、社会問題を掘り起こしたりする「調査報道」を手がけています。メンバーは15人。社会、政治、経済、外信の各部から集められた経験豊富な記者ばかりです。その中で私は、公文書隠蔽の実態に迫る「公文書クライシス」というキャンペーン報道を担当しています。

 冒頭はその取材の一場面ですが、官庁の内実を知るのは簡単ではありません。相手が話したくないことを聞き出すのは正直言ってしんどい。裏づけのために膨大な資料を読み込むのも大変です。何カ月も記事を出せないと胃が痛くなります。ジャーナリズムの「王道」とされる「調査報道」は、地道な作業の連続なのです。

 それでも、私はこの仕事にやりがいと誇りを感じています。記事をきっかけに社会が動き、制度が改善されたり、誰かが救われたりすることがあるからです。

 冒頭の官僚はリスクを冒しながら証言してくれた理由をこう語りました。「あなたたち記者が書かなければ、変わらないことがある」

 こうした期待が、背中を押してくれます。

One day

8:00
パンをかじりながら、新聞とネットでニュースをチェック
9:00
前日に取材した内容をメモに。その後、資料の読み込みと取材のアポ取り
13:30
会社に。同僚らと打ち合わせ
14:00
神保町のラーメン店でランチ
15:00
大学教授にインタビュー
17:00
喫茶店でコーヒーを飲みながら原稿を執筆
19:00
都内の居酒屋で官僚と落ち合い、意見交換
21:30
都内のバーに転戦。国会議員秘書と意見交換
23:00
帰宅

Q&A

学生時代に打ち込んだことは?
ボクシングと中国探訪。
仕事をする上で大事にしていること・ものは?
自分を過信せず、謙虚であること。
入社して意外だったことは?
記者の個性を大事にしてくれること。
現在の仕事内容や取り組む姿勢を一言で表現すると?
諦めない。