毎日社会福祉顕彰

第50回毎日社会福祉顕彰 受賞の3件決まる

 福祉の向上に尽くした個人、団体を表彰する第50回(2020年度)毎日社会福祉顕彰(毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団主催、厚生労働省、全国社会福祉協議会後援)に、推薦された24件の中から次の3件が選ばれました。

 竹内昌彦さん(認定NPO法人ヒカリカナタ基金理事長=岡山市中区)
 社会福祉法人野の花学園(福田量理事長=福岡市中央区)
 認定NPO法人大阪精神医療人権センター(位田浩、大槻和夫両代表理事=大阪市北区)

 受賞者には賞牌(しょうはい)と賞金(各100万円)が贈られます。今年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のため合同での贈呈式の開催は見送られました。

 今年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のため合同での贈呈式の開催は見送られ、それぞれの受賞者に賞牌(しょうはい)と賞金(各100万円)が届けられました。

竹内昌彦さん(前列中央)
野の花学園・福田理事長(中央)
大阪精神医療人権センター・大槻代表理事(右)

【受賞者プロフィール】

「途上国で眼病治療支援」

竹内昌彦さん(75)=岡山市中区 認定NPO法人「ヒカリカナタ基金」理事長

 幼少期に網膜剥離で失明。岡山県立盲学校の教員時代から、子供のころにいじめを受けた経験を基に各地で講演、障害者差別の解消や命の大切さを訴えている。講演や原稿執筆の謝礼金でモンゴルに盲学校、キルギスに視覚障害者の生活訓練施設を建設。2017年には途上国の子供たちの眼病治療の支援のため認定NPOヒカリカナタ基金を設立した。受賞に「活動を続けられるのは仲間のおかげ」と感謝する。

「障害者に豊かな生活を」

社会福祉法人「野の花学園」=福岡市中央区 福田量理事長(89)

 1959年に障害児がいる母親5人が福岡市に訓練施設「野の花学園」を設立。65年に社会福祉法人になった後、入所施設「第一野の花学園」が開設され、知的障害者支援の先駆的役割を果たしてきた。「ひとりひとりの豊かな生活を求めて」を理念に活動の幅を広げ、就労支援施設や食品加工、喫茶店事業など福岡県内で25施設を運営。福田量(はかる)理事長は「障害者と当たり前に共生する社会になってほしい」と願う。

「精神科病院の処遇改善」

認定NPO法人「大阪精神医療人権センター」=大阪市北区 位田浩代表理事(57)

 精神障害者の人権保障に尽力している。栃木県の精神科病院で1984年、職員の暴行による患者の死亡が発覚した事件を契機に設立し、35年を迎える。閉鎖空間での人権侵害を防ごうと、大阪府内の病院を繰り返し訪問。入院患者の声を聞き取り、病院と交渉を重ねて処遇の改善を実現している。「活動が評価されてうれしい。今後も精神科病院に市民の感覚を持ち込み、患者の権利を守りたい」と語る。

2020年10月7日毎日新聞より

第49回毎日社会福祉顕彰 1人と2団体を表彰

 福祉の向上に尽くした個人や団体を顕彰する2019年度第49回毎日社会福祉顕彰(毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団主催、厚生労働省、全国社会福祉協議会後援)の贈呈式が10月24日、東京都千代田区のパレスサイドビルで行われ、1個人と2団体に表彰額と賞金(100万円)が贈られました。

 失明後、故郷の埼玉県で初となる養護盲老人ホームを開設した茂木幹央・社会福祉法人「日本失明者協会」理事長=写真左=は「就労の支援事業や若い障害者のための生活支援も広げてきた」とこれまでを振り返りました。50年前から保育園に障害児を受け入れ、健常児と共に過ごす「統合保育」を進めてきた社会福祉法人「水仙福祉会」の松村寛理事長=同中央=は「法や制度にない谷間の問題に、これからも取り組みたい」とさらなる豊富を述べました。障害の有無にかかわらず、共生できる社会の実現を目指すシャロームの大竹静子代表=同右=は「東日本大震災で福島は大変な被害を受けたが、全国の人たちとの交流で諦めずに共に生きる社会を作り上げていきたい」と想いを語りました。

【受賞者プロフィール】

養護盲老人ホーム開設

◇茂木幹央さん(83)=埼玉県深谷市 社会福祉法人「日本失明者協会」理事長

 2歳の時、はしかが原因で失明。日大卒業後、厚生教官を経て日本失明者協会を設立し、1979年、故郷の埼玉県深谷市に同県初の養護盲老人ホーム「ひとみ園」を開設しました。「視覚障害者の職業選択の幅を広げ、楽しみの少ない老後を有意義に暮らせるように」と活動を広げ、現在は特別養護老人ホームや若い障害者のためのグループホーム、就労継続支援事業所など計6施設を運営しています。「ありがたい。亡き父母にもよい報告ができる」と受賞を喜びました。

障害児の成長、一貫支援

◇社会福祉法人「水仙福祉会」=大阪市東淀川区 松村寛理事長(84)

 1956年に「風の子保育園」を設立し、69年から障害児を受け入れて健常児と一緒に過ごす「統合保育」を先導しました。その後、預かるだけの統合保育に限界を感じて、親子在園など独自の方針を掲げる障害児専門の「淡路こども園」を始めました。さらに義務教育後を支える「風の子そだち園」を開設し、障害者を幼児期から一貫して支える体制を築きました。「国の制度がなくても取り組むのが本来の社会事業」と語っています。

県内授産品のを展示販売から

◇シャローム=福島市 代表、大竹静子さん(72)

 障害者支援を目的に1981年、福島市に設立。福島県内の障害者施設をつないだ授産品の展示販売会や全国の障害者アートを紹介するなど、障害の有無にかかわらず「誰もが共に生きられる社会づくり」を目指してきました。2011年の東日本大震災後、被災地に関心を持ってもらおうと全国各地でひまわりを栽培してもらうプロジェクトを始めました。「みんなで弱い人たちを支え合う意識を持ってほしい」と願っています。

2019年9月19日 毎日新聞より

第48回毎日社会福祉顕彰 2団体1個人に

 福祉の向上に尽くした個人や団体を表彰する第48回毎日社会福祉顕彰(毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団主催、厚生労働省、全国社会福祉協議会後援)の贈呈式が10月31日、東京都千代田区のパレスサイドビルで行われ、2団体と1個人に表彰額と賞金(100万円)が贈られました。

 韓国やフィリピンなど外国籍の子どもを支援する特定非営利活動法人「在日外国人教育生活相談センター・信愛塾」(横浜市)の竹川真理子センター長(68)=写真左=は「子どもや保護者は地域住民として頑張っている。その声を私たちの力として、発信していければいい」と決意を述べました。

 不登校の児童・生徒のためのフリースクールなどを設立してきた千葉県松戸市の奥地圭子・特定非営利活動法人「東京シューレ」理事長(77)=同中央=は「不登校に対する世間の見方は、まだまだ低い。多様な学びで安心して育っていけるというものにしたいと、今取り組んでいる」と現状を報告しました。

 虚弱児や被虐待児らの療育に力を尽くしてきた社会福祉法人「岩手愛児会」(盛岡市)の藤澤昇会長(71)=同右=は「もっと子どもたちを守る体制を作らなければならない。施設はよく最後のとりでと言われるが、施設こそ社会の入り口で活動しなければならない」と信念を語りました。

【受賞者プロフィール】

支援の子ども、国籍広げ

◇特定非営利活動法人「在日外国人教育生活相談センター・信愛塾」 竹川真理子センター長(67)=横浜市南区

 在日韓国人の暮らしを支援するため1978年、横浜中華街(横浜市中区)で発足しました。40年に及ぶ活動の中で、学習支援や在日外国人相談など活動を徐々に広げ、支援する子どもの国籍は、中国やフィリピンなど時代を経て広がりました。行政機関とも連携し、保護者が抱えるさまざまな問題にも根気よく寄り添い、遠方からの電話相談も後を絶ちません。「私たちは最後のとりで。子どもが持つ無限の可能性を守り続けたい」と力強く語っています。

不登校児の「居場所」作る

◇奥地圭子さん(77) 特定非営利活動法人「東京シューレ」理事長=千葉県松戸市

 長男の不登校経験から、不登校の子どもの居場所となるフリースクールを1985年、東京都北区に開設し、今では都内と千葉県の4カ所に広げています。家庭を中心に学び育つ「ホームシューレ」や「シューレ大学」、「東京シューレ葛飾中学校」、「不登校新聞」発刊などにも取り組んできました。全国的な活動にも尽力し、2016年の不登校の子どもを支援する「教育機会確保法」の成立にも貢献しました。「学校以外の学び方、育ち方もあると知ってほしい」と願い続けています。

被虐待児の療育に尽力

◇社会福祉法人「岩手愛児会」 藤澤昇会長(71)=盛岡市

 結核児童の療育と福祉向上を目的に1956年設立されました。「子どもこそ原点」の基本理念のもと、東北で2番目となる児童心理治療施設をはじめ、こども病院や小規模の児童養護施設などを時代のニーズを先取りして次々と開設してきました。結核児、虚弱児・病児、発達障害児、被虐待児などサポートが必要な子どもを療育し続けて社会に送り出しています。現在最も重視する被虐待児のケアについて「地域や社会も考えなければならない」と訴え続けます。

第47回毎日社会福祉顕彰

 福祉の向上に尽くした個人や団体を表彰する第47回(2017年度)毎日社会福祉顕彰(毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団主催、厚生労働省、全国社会福祉協議会後援)の贈呈式が10月11日、東京都千代田区のパレスサイドビルで行われ、2団体と1個人に表彰額と賞金(各100万円)が贈られました。

 子どもの虐待の早期発見と虐待のない育児を支援する社会福祉法人「子どもの虐待防止センター」(東京都世田谷区)の片倉昭子理事(72)=写真左=は「子育て支援の重要性を社会が認識し、充実させることが虐待防止につながっていく」とあいさつをしました。

 難病患者の社会参加を後押しする作業所を開設した佐賀市の江頭邦子さん(67)=同中央=は「今回の受賞が見た目では分かりにくい難病の人への支援を考えるきっかけになれば」と喜びを語りました。

 障害者が自ら働く場を作り出す「企業授産」という独自理念で活動する社会福祉法人「北海道光生舎」(北海道赤平市)の高江智和理(ちおり)理事長(56)=同右=は「就労を通じた自立支援にこれからも努めていきたい」と抱負を述べました。

【受賞者プロフィール】

「隠れた虐待、見逃さず」

◆社会福祉法人「子どもの虐待防止センター」 松田博雄理事長(68)=東京都世田谷区

 子どもの虐待の早期発見と虐待のない育児を支援するため、1991年に設立。民間団体の先駆けとして、電話相談の傍ら、児童相談所との連携を積極的に進めてきました。さらに育児に悩む親への支援、子どもと養育者の愛着形成プログラムや、医師を対象に性虐待を受けた子どもの診察トレーニングを行うなど幅広く活動を展開してきました。「子どもの問題の多くで背景に虐待がある。地道に取り組んでいきたい」と現状を分析しています。

 

「難病患者に寄り添って」

◆江頭邦子さん(67) 特定非営利活動法人「アクティブ」理事長=佐賀市

 難病患者の社会参加を後押しする作業所を2002年、佐賀県で初めて開設しました。患者に寄り添った活動を続け、二つの特定非営利活動法人も設立。昨年は患者同士が情報交換できるサポートセンターを開きました。自らも40代で膠原(こうげん)病が判明し、体に痛みを抱えながらも家事や仕事をした経験を原動力にしています。難病の社会福祉について「すごく遅れている。障害者支援並みに引き上げなければ」と意気込みを語っています。
 

「働く障害者へ利益還元」

◆社会福祉法人「北海道光生舎」 高江智和理理事長(56)=北海道赤平市

 炭鉱事故で負傷した労働者らの自立支援のため1956年に父(故人)が創業したクリーニング業を、障害者自ら働く場を作り出す「企業授産」という独自の理念と共に受け継ぎました。「一般企業と競い合いたい」としてビジネス的視点で福祉施設の運営まで幅広く手がけ、積極的な顧客開拓などで利益を働く障害者に還元。「障害を言い訳にしない」を心掛け、「3倍努力し、高品質のサービスを提供する」と決意を新たにしています。

第46回毎日社会福祉顕彰

 福祉の向上に尽くした個人や団体を表彰する第46回毎日社会福祉顕彰(毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団主催、厚生労働省、全国社会福祉協議会後援)の贈呈式が10月21日、東京都千代田区の如水会館で開かれ、全国各地から推薦された43件の候補から選ばれた2団体と1個人が表彰されました。

 不登校やひきこもりの若者と家族を支える活動を続ける公益社団法人「青少年健康センター」(東京都文京区)を代表してあいさつした会長の齋藤友紀雄さん(80)=写真左端=は「大勢の方の支援を受けて今日に至った。心から感謝したい」と話しました。

 子どもを虐待から守る活動を55年以上続けている元大阪府中央子ども家庭センター所長の家常惠さん(78。大阪府大東市)=同左から2人目=は「大阪の福祉を代表して受賞したと思っている」と感謝を述べました。

 障害者の社会参加を進めているNPO法人「地域活動支援センターおおぞら」(鳥取県米子市)の理事長、植村ゆかりさん(66)=同右から2人目=は障害を持つ長男周平さん(29)=同右端=と登壇し、「これからも障害を持つ全ての人が輝ける基礎を作っていきたい」と抱負を語りました。

【受賞者プロフィール】

◆公益社団法人「青少年健康センター」 齋藤友紀雄会長=東京都文京区

 不登校やひきこもりの若者と家族を支えようと1985年、精神医学や心理学の専門家らで設立。3年後に居場所となるデイケア施設を設置しました。斎藤さんは2004年に会長に就任。「いのちの電話」の活動経験を生かした自殺予防の電話相談「クリニック絆」も開設しました。自治体から受託する、若者の社会参加応援事業も増えており「各方面から期待されている。専門スタッフの養成にも力を入れたい」と今後を語っています。

◆家常惠さん 元大阪府中央子ども家庭センター所長=大阪府大東市

 55年以上、子どもを虐待から守る活動を続けています。大阪府内の児童相談所長を歴任し、虐待を受けた子どもの保護に尽力してきました。集団で子どもを取り返しに来たオウム真理教の信者や暴力団員の親とも決然と対応したことが語り継がれています。定年退職後の2003年、児相や養護施設、医療機関関係者らと「大阪子どもネットワーク」を全国に先駆けて作りました。「子どもの命を守る最後のとりでとして、虐待の発見や防止に力を注ぎたい」と意気盛んです。

◆特定非営利活動法人「地域活動支援センターおおぞら」 植村ゆかり理事長=鳥取県米子市

 養護学校の保護者7人が1994年に作業所を開設したのが始まりでした。現在では▽作業所▽書道、ダンスなど6講座▽福祉の店2店――を展開し障害者約80人が利用しています。今秋10回目を数えたバリアフリーの水泳・ランニング複合競技「全日本Challengedアクアスロン皆生大会」を国内で初めて企画し、事務局として運営を支えてきました。植村さんは「障害者が輝くことを手助けするのが仕事です」と話しています。

第45回毎日社会福祉顕彰

受賞を喜ぶ(左から)ワット隆子さん、芦沢茂夫さん、市原美穂さん

福祉の向上に尽くした個人、団体を顕彰する第45回毎日社会福祉顕彰(毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団主催、厚生労働省、全国社会福祉協議会後援)は、推薦された30件の中から次の3件に決まり、10月26日(月)毎日新聞東京本社で開かれた贈呈式で、賞牌(しょうはい)と賞金(各100万円)が贈られました。

◇認定特定非営利活動法人ホームホスピス宮崎(市原美穂理事長=宮崎市)
◇芦沢茂夫さん(支えあう会「ピーチ&グレープ」代表=山梨県南アルプス市)
◇ワット隆子さん(あけぼの会会長=東京都)

【受賞者プロフィール】

◆認定NPO法人「ホームホスピス宮崎」 市原美穂理事長=宮崎市

 1998年、県内に緩和ケア病棟を設置しようと発足。2004年には民家を活用、病院や福祉施設で受け入れを断られた難病や介護レベルの重い患者が暮らす「かあさんの家」を開設しました。「地域で自分らしく生きてもらう」という考え方が新たな在宅ホスピスケアの先駆けとして注目されています。市原理事長は「患者のために何ができるのかを常に考えてきました。その姿勢を変えずに今後も取り組みたい」と話しています。

◆芦沢茂夫さん(68) 「ピーチ&グレープ」代表=山梨県南アルプス市

 車いす生活者の生活環境改善やバリアフリー化に尽力してきました。2010年には障害者とボランティアで支え合う会「ピーチ&グレープ」を設立。県内の飲食店などに協力を呼びかけ、段差にスロープを設置してもらうなどの活動を進めています。両手足に障害があり、車いす生活ですが、自ら考案した手作りの器具を取り付け、車も運転します。芦沢さんは「心の中の障壁をなくすことがバリアフリー」と話しています。

◆ワット隆子さん(75) 「あけぼの会(乳がん患者の会)」会長=東京都目黒区

 乳がんの手術を受けたことを契機に、乳がん患者会「あけぼの会」を1978年に設立。次第に家族や医療関係者らも入会するようになり、会員は全国で約3000人を数えます。患者同士が社会復帰のために助け合うことと、乳がん検診の呼びかけなどの啓発活動が会設立以来の活動の2本柱。「がんという病気が心理に与える恐怖や拒否反応は今も昔も同じ。原点を忘れず、できる限り続けたい」と話しています。

第44回毎日社会福祉顕彰

左から岩田美津子さん、桐生清次さん、明石恒浩さん

 福祉の向上、発展に尽くした個人、団体を顕彰する第44回毎日社会福祉顕彰(毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団主催、厚生労働省、全国社会福祉協議会後援)の贈呈式が10月8日、東京都千代田区の毎日新聞東京本社で開かれました。

 個人3名に、朝比奈豊・毎日新聞東京社会事業団理事長(毎日新聞社社長)が顕彰額と賞金100万円を贈りました。

 受賞者と業績は次のとおり。

明石恒浩さん(61)=ザ・ブラフ・メディカル&デンタル・クリニック院長(横浜市)

 日本で働く外国人労働者とその家族、また日本人の夫と離婚した母子などが日本の医療の恩恵を受ける事は容易ではありません。健康診断、予防接種などの予防医療はもちろん、急病、けがなどの際にも日本語という大きな壁が立ちはだかります。

 アジア周辺の外国人が多い、横浜市中区の診療所長に着任して27年。英語はもちろん、フランス語、タガログ語に堪能な明石医師は、救いの手が必要な外国人労働者とその家族を支援してきました。

 ひと頃は、不法滞在の外国人も多く、診察料を払えない患者も毎日のように訪れました。病状病態に関係なく、言葉の通じる同クリニックに救急搬送されてくることもよくありました。入管に拘束された患者に、投薬を続けたこともあります。予防接種の案内、出産の相談など医療情報を求める家族も多く、クリニックにはいつも外国人の子どもを抱きかかえてあやす同医師の姿があります。

 地元のNPOや教会のスタッフと、近くの簡易宿泊所街寿町で健康パトロールやホームレス支援も行っています。

桐生清次さん(80)=社会福祉法人七穂会理事長(新潟県新発田市)

 桐生さんは、24年間特別支援学級を担任した中学校教員時代に、保護者と「手をつなぐ親の会」を創設して、障がい者の雇用促進問題に取り組み、120人以上の卒業生の就労に尽力しました。

 定年後は、授産施設「虹の家」の施設長に就任。新たにハートワーク高浜、虹の家紫雲寺、スバルワークセンターなど施設を新たに開設して、多くの知的障がい者に雇用の場を創出してきました。

 延べ3000人以上の教員、大学生、企業の新入社員を、これらの施設で研修生として受け入れたり、1万8000人以上のボランティアを受け入れるなど、障がい者雇用への理解と啓発活動にも積極的に取り組んできました。

 障がい者に関するノンフィクションなどもいくつか著し、平成12年の著作「最後のごぜ 小林ハルの人生」では、障がい者と健常者がともにどう生きるべきかを世に問いかけました。

岩田美津子さん(62)=てんやく絵本ふれあい文庫代表(大阪市)

 岩田さんは、わが子から「絵本を読んで」とせがまれたのをきっかけに、「てんやく絵本」を考案しました。透明シートで本文の点訳と絵の輪郭や説明を貼り付ける点訳の絵本。目の見えない母親が、目の見える子どもに絵本を読み聞かせて共に楽しむ。目の見えない子どもが初めて絵本を読む。本の製作と貸出しの活動を通して、全国の視覚障がい者に絵本を味わう喜びを届けています。

 30年間にわたり全国の母親に貸し出す活動を続けていますが、今では120人のボランティアが年300〜400冊を製作し、現在蔵書は1万冊。全国200の個人団体に年間6000冊を貸し出しています。

 また、著書「てんやく絵本の作り方」や出張講習などにより、全国各地にボランティアが育ち、公立図書館や学校図書館などでも閲覧・貸出しが広がっています。