母の日・父の日募金キャンペーン

8月末まで寄付を募集しています。ご協力をお願いします

強い母、人として尊敬

 2026年は5月10日が母の日、6月21日が父の日。毎日新聞は今年も困難な状況で生きる子どもへの支援を呼びかける「母の日・父の日募金キャンペーン」を行っています。集まった寄付金は例年、病気や災害で親を失うなどした子どもを支援する「あしなが育英会」などに届けています。国士舘大4年、渡辺千央利さん(23)は生後間もなく父昭さん(当時33歳)を亡くしたが、奨学金と母梨恵さん(48)の支えで故郷の新潟県から上京し、見つけた夢を実現しようとまい進しています。

渡辺千央利さん
●つらかったことない

 父は職場で出会った母との結婚式直前に病で倒れ、千央利さんが誕生した2カ月後に亡くなった。だが、千央利さんは子どもの頃から「パパ以上の人はいない」という母ののろけ話を聞き、父は優しい人だったと想像してきた。

 父の死後、祖父母と母の4人で暮らした。母はそれまでの職場を辞め、別の会社で働き始めたが、必ず定時には帰ってきた。誕生日にはプレゼントのディズニーランド旅行を欠かさず、習い事にも通わせてくれた。おかげで、「一人親でつらい」と卑屈に感じたことは一度もなかった。

 ただ、高校受験で「塾に通いたい」とせがんだ際、母は少し困った表情を見せたことがある。「希望はかなえてくれましたが、経済的に大変だったはずです。私に気を使わせないよう、みえを張ってくれていたんだと思います」

 転職先では正社員になかなか登用されなかったが、千央利さんが高校生になると、仕事をいったん辞めて勉強に励み簿記3級を取得した。その上で正社員となり、大学への進学を支えてくれた。

 千央利さんが東京の大学を志したのは、高校生の時、あしなが育英会の案内で知った国際色豊かな学生寮「あしなが心塾」での生活にひかれたからだった。今では念願かなって 奨学金で大学に通い、寮生活を送っている。

 この選択が転機になった。寮生のマダガスカル人留学生と話をする中で「もっとアフリカを知るべきだ」との思いを強め、1年休学してあしなが育英会の海外留学研修制度に参加した。ウガンダで、自分と同じように病などで親を亡くした子どもと交流したり、少年野球大会「ウガンダ甲子園」を開くプロジェクトに奔走したりした。ホームステイした10軒以上の遺児家庭で大事にもてなされ、ウガンダへの思いはさらに深まった。

●夢はアフリカへ

 帰国した現在は国際協力機構(JICA)の海外協力隊に応募し、アフリカで再び活動することを目指す。大学院に進んで教育や国際協力などを学び、将来は「アフリカに学校を建てる」という夢を膨らませている。「変な言い方ですが、父が亡くなり、母が1人で頑張ってくれたおかげで育英会の支援を受けられ、可能性が広がりました。感謝しかありません」

 そんな思いから、奨学生で運営する「あしなが学生募金事務局」ではこれまでに地域代表を務めるなど、活動に長く携わっている。

 母が幼い娘を抱えて夫に先立たれたのは、今の自分とほぼ同じ25歳の時。「最愛の人を亡くすだけでも耐えがたいことなのに、母は落ち込む間もなく娘を育てた強い女性です。親としてだけでなく、人としても尊敬します」

 ウガンダ留学に当初は猛反対していたが、今では良き理解者だ。「今まで家族のためにいろんなことを我慢してくれました。今度は私が、母が希望する海外旅行に連れて行き、いつかは家も建ててあげたいです」【稲垣衆史、写真も】

2025年度 母の日・父の日募金キャンペーンに139件、388万円

 困難な状況で生きる子どもたちを支援する2025年度の「母の日・父の日募金キャンペーン」は締め切りの8月31日までに全国から139件、計388万6210円が寄せられました。

 5月3日の本紙くらしナビ面では、7歳の時に父を失い、「あしなが育英会」の奨学金を受けながら大学に通う男性を紹介した。

 記事を読み、初めて募金に応じたという埼玉県の女性(81)は「私の学校時代は貧しさから教科書が買えず、母が近所を回り譲り受けたものを姉妹で順番に使いました。でも、改定で内容が変わっていることを先生にも親にも言えませんでした」と自身の境遇を振り返りつつ、「勉学に励みたいという奨学生の気持ちはすてきなことです」と話した。

 「結婚するまで4年ほど教職に就いていました。辞めてからも、何か子どもたちのために役立つことをしたいとずっと思っていました」。そう語るのは、数年前から募金に協力しているという秋田市の元高校教諭の女性(76)だ。女性は「若い方たちが生き生きと日々を暮らせるような世の中になってほしいですね」と願っている。【山崎明子】

 毎日新聞と毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団は、あしなが育英会に半額を、残りを次の団体に届けました。

 日向ぼっこ▽フェアスタートサポート▽子どもセンターぬっく▽チャイルド・リソース・センター▽青少年の自立を支える福岡の会▽アフターケア相談所「ゆずりは」▽CVV(Children's Views&Voices)。

 キャンペーンへのご協力に感謝します。ありがとうございました。

(2025.11.7 毎日新聞)