点字毎日   2022年2月で創刊100年 視覚障害者と社会を結ぶかけ橋 点字毎日  2022年2月で創刊100年 視覚障害者と社会を結ぶかけ橋

 「点字毎日」は、毎日新聞社が週に1度発行する点字を使った新聞です。発行が始まったのは、日本ではラジオ・テレビ放送もなかったおよそ100年前。そのころ、世の中の情報を知るための主な方法は新聞でしたが、目の見えない人たちはだれかに読んでほしいと頼まなければいけませんでした。

 そこで、「社会で生きる一人として必要な知識と勇気が得られるよう、自ら読める新聞を作ろう。視覚障害について多くの人に知ってもらおう」と願って1922年5月11日、「点字毎日」が誕生しました。それ以来、視覚障害者にとって大切なニュースや生活情報を独自に取材、編集して届けています。これだけ長く「視覚障害者と社会をつなぐかけ橋」となってきた新聞は、世界中で「点字毎日」だけです。

点字毎日の制作工程動画

 今では視覚障害者をめぐる環境は変化し、技術も発展して、インターネットやスマートフォンなど情報を得る手段は増えました。けれども、「点字毎日」の読者が共感を覚え、刺激を受け、次の行動を生み出していくという繰り返しがあった100年を振り返ると、点字毎日が見えない人たちに向けて伝えてきた情報がこれからも重要であるのは変わりません。

誕生当時の思いや点字で情報発信する形を受け継ぎ、
新しい時代にふさわしい役割を確かめながら、「点字毎日」は歩み続けます。

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見え方いろいろ 視覚障害って?

 皆さんは、白いつえを持った人や、盲導犬を連れて歩いている人に出会ったことがありますか?

 視覚障害の程度は実はいろいろです。全く見えない人、光は感じられる人、見える範囲がごくわずかの人、夜は見えにくい人、色を見分けるのが難しい人など、いろいろな「見え方」の人がいます。見えない、見えにくいために障害者手帳を持つ人は約32万1000人と言われています。多くは高齢者ですが、若くして見えなくなった人もいます。日本眼科医会は2007年、見えない人や見えにくさを感じる人は164万人いると推計し、2030年には200万人近くまで増えると予測していました。

暮らしを支える

 見えない人、見えにくさのある人もさまざまな仕事で働き、仲間と語らい、趣味を楽しむなどして生活しています。科学技術が進み、目の代わりになり、暮らしを便利にする道具が作り出され、社会の進歩とともに福祉サービスなど支援の仕組みも増えてきました。

 このように見えない人、見えにくい人が社会で活動するための知識を身につけ、意欲を生み出した原点とも言えるのが、6つのプツプツの点でできた「点字」です。点字は、見えない人が読んだり、学んだりできるよう、指先などで触って読む文字です。