1964年、前年に「点字毎日」が長年の点字新聞・書籍の出版などに対して「菊池寛賞」を受賞したことを機に、創設されました。視覚障害者の文化、教育、福祉の向上に貢献した個人や団体を表彰しています。選考候補者(個人または団体)は自薦、他薦を問わず公募しており、選考委員会の本審査で受賞者(1人または1団体)を決定します。
視覚障害者の福祉、文化などの分野で貢献した個人や団体を表彰する「第61回点字毎日文化賞」は静岡県立大名誉教授の石川准さん(静岡市)に決まりました。石川さんには賞状と記念盾、副賞の中村京太郎賞(置き時計)、 日本盲人福祉委員会奨励賞(30万円)をお贈りします。
回 | 年 | 受賞者 | 受賞理由 | |
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第1回 | 1964年 | (昭和39年) | 好本督(よしもと・ただす) | 「点字毎日」発行に尽力 |
第2回 | 1965年 | (昭和40年) | 志村太喜弥(しむら・たきや) | 日本初の盲ろう教育に貢献 |
第3回 | 1966年 | (昭和41年) | 鈴木力二(すずき・りきじ) | 盲教育史資料の編さんに尽力、盲教育への貢献 |
第4回 | 1967年 | (昭和42年) | 本間一夫(ほんま・かずお) | 全国を対象とした本格的点字図書館を創設 |
第5回 | 1968年 | (昭和43年) | 和波孝禧(わなみ・たかよし) | プロのバイオリニストとしての活躍躍 |
第6回 | 1969年 | (昭和44年) | 岩橋英行(いわはし・ひでゆき) | 日本ライトハウス理事長、国際交流を通じた盲人福祉への貢献 |
第7回 | 1970年 | (昭和45年) | 肥後基一(ひご・きいち) | 点字出版所を創設し点字出版文化に貢献 |
第8回 | 1971年 | (昭和46年) | 中道益平(なかみち・ますへい) | 重度身障者向け収容授産施設建設の功績 |
第9回 | 1972年 | (昭和47年) | 松井新二郎(まつい・しんじろう) | カナタイプによる盲人の新職業開拓に尽力 |
第10回 | 1973年 | (昭和48年) | 木村龍平(きむら・りょうへい) | 点字による随筆、論文などの活発な文筆活動 |
第11回 | 1974年 | (昭和49年) | 加藤康昭(かとう・やすあき) | 盲人の社会史・教育史などの研究実績を通じ、福祉・教育の未来に貢献 |
第12回 | 1975年 | (昭和50年) | 高橋竹山(たかはし・ちくざん) | 津軽三味線を通して、邦楽界に独自の境地を開拓 |
第13回 | 1976年 | (昭和51年) | 加瀬三郎(かせ・さぶろう) | 創作折紙に触覚による独自の技法を開発、視力障害者に普及 |
第14回 | 1977年 | (昭和52年) | 芹沢勝助(せりざわ・かつすけ) | 東洋医学系物理療法の科学化への研究と視覚障害者教育への貢献 |
第15回 | 1978年 | (昭和53年) | 中塩幸祐(なかしお・こうゆう) | 作曲、演奏活動の傍ら、口伝の古典筝曲、地唄の保存に尽力 |
第16回 | 1979年 | (昭和54年) | 鈴木栄助(すずき・えいすけ) | 視覚障害者教育の分野でのすぐれた実践、出版による啓蒙活動 |
第17回 | 1980年 | (昭和55年) | 山本卯吉(やまもと・うきち) | 金属加工の分野で視覚障害者の新職業開拓、障害者の自立に貢献 |
第18回 | 1981年 | (昭和56年) | 山川園松(やまかわ・えんしょう) | 作曲、演奏活動を通しての筝曲の普及啓蒙 |
第19回 | 1982年 | (昭和57年) | 塩屋賢一(しおや・けんいち) | 日本で初めて盲導犬を育成し普及に尽力 |
第20回 | 1983年 | (昭和58年) | 該当者なし | |
第21回 | 1984年 | (昭和59年) | 本間昭雄(ほんま・あきお) | 盲老人ホームの運営と開設普及運動に尽力 |
第22回 | 1985年 | (昭和60年) | 前澤絢子(まえさわ・あやこ) | 盲婦人運動の指導を通し、地位向上に尽力 |
第23回 | 1986年 | (昭和61年) | 川上泰一(かわかみ・たいいち)、 長谷川貞夫(はせがわ・さだお) | 点字の漢字考案と情報処理システムの開発 |
第24回 | 1987年 | (昭和62年) | 竹下義樹(たけした・よしき) | 初の全盲弁護士という職域開拓と精力的な活動に対して |
第25回 | 1988年 | (昭和63年) | 仲村茂男(なかむら・しげお) | 点字器製作を通し盲人文化、教育を側面から援助した功績 |
第26回 | 1989年 | (平成元年) | NHKラジオ・盲人の時間 | 障害者に生きる勇気を与えると共に一般社会への啓発に貢献 |
第27回 | 1990年 | (平成2年) | 村越化石(むらこし・かせき) | ハンセン病で失明という境遇を超えた俳壇での活躍 |
第28回 | 1991年 | (平成3年) | 斎藤正夫(さいとう・まさお) | パソコンデータの音声化ソフトの開発と普及 |
第29回 | 1992年 | (平成4年) | 佐藤浩(さとう・ひろし) | 児童詩を通した青少年への情操教育 |
第30回 | 1993年 | (平成5年) | 富山清琴(とみやま・せいきん) | 地唄、筝曲の伝承への尽力と作曲活動を含む高い音楽性に対して |
第31回 | 1994年 | (平成6年) | 平井正(ひらい・ただし) | 長年にわたり点字楽譜の出版を続けてきた功績 |
第32回 | 1995年 | (平成7年) | 田中亮治(たなか・りょうじ) | 文化芸術活動を通した盲重複障害者の社会参加支援 |
第33回 | 1996年 | (平成8年) | 福島智(ふくしま・さとし) | 盲ろう者福祉への幅広い貢献 |
第34回 | 1997年 | (平成9年) | 高野喜長(たかの・きちょう) | 箏曲演奏家・作曲家として伝統音楽に新境地を開いた功績 |
第35回 | 1998年 | (平成10年) | 田辺建雄(たなべ・たつお) | 後進育成や国際交流など先駆的な地域福祉の実践 |
第36回 | 1999年 | (平成11年) | 梯剛之(かけはし・たけし) | ピアニストとしての国内外での活躍 |
第37回 | 2000年 | (平成12年) | 金治憲(キム・チーフン) | 開発途上国の視覚障害者への留学支援活動 |
第38回 | 2001年 | (平成13年) | 桜井政太郎(さくらい・まさたろう) | 視覚障害者のために、直接触れる私設博物館を開設 |
第39回 | 2002年 | (平成14年) | 青木陽子(あおき・ようこ) | 中国に視覚障害者日本語学校を設立、国際交流に尽力 |
第40回 | 2003年 | (平成15年) | 大島健甫(おおしま・けんすけ) | 教科書など著作を通して視覚障害者への理解を促進 |
第41回 | 2004年 | (平成16年) | 橋本宗明(はしもと・むねあき) | 長年、多方面で視覚障害者の権利回復と社会参加運動を推進 |
第42回 | 2005年 | (平成17年) | 愼英弘(シン・ヨンホン) | 長年の社会福祉の研究成果を実践面で生かした |
第43回 | 2006年 | (平成18年) | 小林一弘(こばやし・かずひろ) | 長年、学校現場で視覚障害児・者教育に貢献 |
第44回 | 2007年 | (平成19年) | 富田清邦(とみた・せいほう) | 地唄・箏曲の継承活動、後進育成 |
第45回 | 2008年 | (平成20年) | 藤芳衛(ふじよし・まもる) | 障害のある受験者に対する試験方法の改善・研究と実践 |
第46回 | 2009年 | (平成21年) | 三宮麻由子(さんのみや・まゆこ) | 職業人としての傍ら、優れた文筆活動を通じて視覚障害者理解に寄与 |
第47回 | 2010年 | (平成22年) | 杉山検校遺徳顕彰会 | 日本の鍼灸発展と教育に尽くした杉山和一検校の功績を長年顕彰 |
第48回 | 2011年 | (平成23年) | 斯波千秋(しば・ちあき) | 地域の視覚障害者の福祉向上に長年努め、途上国の障害者支援にも尽力 |
第49回 | 2012年 | (平成24年) | 塩谷治(しおのや・おさむ) | 盲ろう者の社会参加への支援制度や組織づくりに尽力 |
第50回 | 2013年 | (平成25年) | 辻井伸行(つじい・のぶゆき) | ピアニスト、作曲家として国内外で活躍 |
第51回 | 2014年 | (平成26年) | 川野楠己(かわの・くすみ) | ラジオ番組プロデューサーとして瞽女や琵琶盲僧の文化を後世に伝える活動 |
第52回 | 2015年 | (平成27年) | 田中徹二(たなか・てつじ) | 電子図書館と情報ネットワーク整備に尽力、国際協力・海外支援にも貢献 |
第53回 | 2016年 | (平成28年) | 木塚泰弘(きづか・やすひろ) | 点字教育や白杖による単独歩行の指導など、盲学校教育の基礎固めに尽力 |
第54回 | 2017年 | (平成29年) | 河村宏(かわむら・ひろし) | デジタル録音図書の国際標準規格「デイジー」の開発・普及に貢献 |
第55回 | 2018年 | (平成30年) | 笹川吉彦(ささがわ・よしひこ) | 日本盲人会連合の副会長・会長として、視覚障害者運動を長く率いた功績 |
第56回 | 2019年 | (令和元年) | 視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる) | 交流組織としての功績とさらなる活動への期待 |
第57回 | 2020年 | (令和2年) | 高橋実(たかはし・みのる) | 後進の職域拡大や学習環境の充実などに貢献、元点字毎日記者 |
第58回 | 2021年 | (令和3年) | 藤野高明(ふじの・たかあき) | 視力と両手を失いながら進学や就職で人生を切り開き、当事者運動を牽引 |
第59回 | 2022年 | (令和4年) | 高知システム開発 | 日本初「点字入力・音声出力ワープロ」を開発し、盲教育発展などに貢献 |
第60回 | 2023年 | (令和5年) | 指田忠司(さしだ・ちゅうじ) | 視覚障害者の就労を支え、日本と海外の懸け橋として友好関係促進に尽力 |
第61回 | 2024年 | (令和6年) | 石川准(いしかわ・じゅん) | 内閣府・国連で差別解消に尽力、ソフト開発等で支援システム発展に貢献 |