日本陶芸展とは

 日本陶芸展は1971年、毎日新聞の創刊100周年記念事業として創設されました。以来、2年に一度のビエンナーレ方式で、2019(令和1)年の第25回展まで開催されました。

 招待部門と公募部門からなり、公募部門は第1部=伝統部門(伝統を踏まえた創作作品)、第2部=自由造形部門(用途にとらわれない自由な造形による作品)、第3部=生活の器部門(生活の中で用いられる器)で構成、あらゆる陶磁器作品を対象にしました。

 第1回は1971(昭和46)年6月11日から16日まで大丸東京店で開催され、大丸大阪店など全国を巡回しました。第1部(一般部門)、第2部(前衛部門)、第3部(民芸部門)の公募部門と、推薦・招待部門で構成され、秩父宮賜杯(第14回から桂宮賜杯)を最高賞に文部大臣賞、外務大臣賞、毎日新聞社賞が贈られました。応募数は第1部474点、第2部160点、第3部107点、合計741点でした。

 当時、陶芸界では、伝統、創作、前衛、民芸などさまざまな分野で作風を競っていました。会派の垣根を越えて、主義主張が異なる作品を一堂に集めて発表する場として、日本陶芸展が設けられました。審査員には、川端康成、白洲正子といった文化人も名を連ねていました。

 その後、さまざまな改変が行われました。第5回で日本陶芸展賞を新設しました。部門名も、第6回から、第1部を「一般部門」から「伝統創作部門」(第7回に「伝統部門」)に、第2部は、第17回から「前衛部門」を「自由造形部門」に、第3部は第6回から「民芸部門」を「実用陶器部門」(第19回に「実用部門」第24回に「和・洋の食器」)に、最後の第25回は「生活の器」に変更するなどの変遷を経ました。

 日本陶芸展は現代陶芸界で活躍している作家の研鑽の場でもありました。歴代の大賞受賞者の中で、松井康成、今泉今右衛門(13代)、伊藤赤水(5代)、徳田八十吉(3代)、福島善三の各氏は重要無形文化財保持者(人間国宝)として活躍、その一方、新人作家にも門戸を開く公募展として定着しました。20歳代、30歳代の若手作家の入賞も多く、巨匠たちの作品がそろう招待部門と併せ、「陶芸の祭典」にふさわしいコンテンツを守り続けました。

2020年3月