住みなれたまちで私らしく〜心地よい暮らしのヒント

薬の飲み忘れを減らしたい/「お薬カレンダー」を活用

中村孝幸さん(社会福祉士、「認知症110番」電話相談員)
中村孝幸さん(社会福祉士、「認知症110番」電話相談員)

●事例の概要

 男性のHさん(84)は妻が数年前に他界し、現在は独り暮らしです。他県に住んでいる長女夫婦から月に数回電話があり、長女らに近況を伝えています。今まで大きな病気はしたことがありませんでしたが、定期健診で高血圧が分かり、内服による治療を開始しました。

●心配事

 毎月定期的に通院し、薬の処方を受けています。現在は1日1回朝食後に口から薬を飲んでいます。夏から秋口にかけて気温が下がってきたのに伴って朝遅く起きることが増え、朝食と昼食を兼ねることがしばしばあります。その影響なのか、薬を飲むのを忘れることが増えています。次回の通院時までに飲み切るはずの薬が多量に残っていて、飲んだり飲まなかったりすることによる悪影響や、飲み忘れが続くことによって体調が悪化するのではないかと心配しています。

●活用できるサービス(代表的なもの)

 薬の飲み忘れに対しては、1人でも使えるさまざまな商品があります。代表的に活用されている一つがお薬カレンダーです。曜日や時間帯ごとにポケットが分かれており、そのポケットにあらかじめ薬をセットしておくことで、飲み忘れや飲み間違いを防ぐ収納グッズです。視覚的にも分かりやすく、飲み忘れがあれば一目で気づけますし、重複して飲むのを防ぐ効果もあります。壁掛けタイプやケースタイプのものがあり、自身の生活スタイルに合わせた商品を選ぶことがポイントです。ホームセンター、ドラッグストアなどのほか、通販でも購入することができます。

●私らしく暮らすためのヒント

 次の通院後、処方を受け薬局に行きました。薬剤師に薬の説明を受けた後、最近薬の飲み忘れが増えていることを話したところ、お薬カレンダーについて教えてもらいました。薬局でも販売されていたため、実物を見たうえで使用方法を確認し、購入してみました。自宅に帰り、早速月曜から日曜日まで薬をセットしてみました。曜日を間違えなければ、一目で飲み忘れが分かることを実感しました。

 また、最近の飲み忘れの原因となっていた生活習慣を見直し、朝しっかり起きることにしました。1週間、飲み忘れをすることなく過ごせたので、次の1週間分の薬をセットしました。これまでのところ残薬もなく、予定通り内服もできており、少し自信を持てた気がしました。さっそく友人にお薬カレンダーのことを話したところ、薬の飲み忘れがある友人も使用してみようという話になりました。

 認知機能の低下、体調不良などにより、自分でセットするのが難しくなる場合も考えられます。薬局によっては、お薬カレンダーに薬をセットした状態で自宅まで届けてくれるサービスもあります。

執筆者プロフィール

中村孝幸(なかむら・たかゆき)
社会福祉士、「認知症110番」電話相談員