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日本総研・阪大院などデイサービス利用者調査/社会活動に参加→積極性維持・向上

調査結果を説明する山川准教授。社会活動に参加した人は前向きな姿勢が維持・向上していることが調査結果を示すグラフから読み取れる

 日本総合研究所は大阪大大学院医学系研究科などと通所介護施設(デイサービス)を利用する人が社会活動に参加した場合の効果について共同で研究した。公園清掃などの奉仕的な社会活動をした人は、施設が提供する通常のレクリエーションのみに参加した人と比べ、積極的な姿勢を保っていることなどが分かった。

 結果を踏まえ日本総研は認知症施策の軸足を今の「講演・広報中心」から「交流・協働型」に移すことが認知症の人の生きがいを生み、「新しい認知症観」の普及につながると提言している。

 国は2024年12月、「認知症になっても住み慣れた地域で仲間らとつながりながら希望を持って自分らしく暮らし続けることができる」という「新しい認知症観」を打ち出した。認知症の人を「支えられる存在」としてだけでなく、「役割や希望を持って暮らす存在」として捉え直すことをうたっている。

 しかし2年近くたっても認知症に対する一般の人の認識は大きく変わっていない。依然「何も分からなくなる」との偏見は残ったままだし、「新しい認知症観」も浸透していない。そこで日本総研は「役割を持って活躍する認知症の人」と自然に接することが認知症への偏見を解き、当事者の自信回復にもつながるのではと考えて阪大大学院の山川みやえ准教授らと調査研究に着手した。

 調査は昨年、公園清掃や無人販売所の管理、正月の飾りづくりといった社会活動、カラオケなど通常のデイサービス活動の両方に参加している15人(参加群)と、通常のデイサービス活動しかしていない23人(非参加群)について、3カ月後にそれぞれ生きがいや自己効力感などがどう変化したかを調べた。その結果、参加群は「生きがい」や「自分の存在には意味がある」という感覚が維持されていたのに対し、非参加群は明らかに低下していた。また参加群は「やってみよう」という積極性が維持・向上傾向にあった一方で、非参加群は低下していた。山川氏は「社会参加活動が自己効力感を支え、主体性を維持した可能性を示唆している」と指摘している。

 こうしたデータも基に、日本総研や阪大は「認知症の人が必要とされ、周りからも認められる」社会づくりが重要としている。「楽しみ(レクリエーション)」から「役割のある参加」への転換を促す施策の必要性を唱え、先進事例として、認知症の人が職員と同じ職場で働く熊本県庁の対応などを挙げている。

 日本総研は介護保険の普及が認知症の人の施設入所を進め、結果的に「認知症の人と一般の人が過ごす空間を分けた面もある」と指摘する。国や自治体、介護事業者への期待として、意識の高い人だけの参加にとどまりがちな当事者による講演などばかりでなく、一般の人が認知症の人と日常の場で出会う機会の創出や、本人に合う社会参加活動を探して企業、学校、住民との接点を広げることなどを求めている。