2014年ハイチ・ドミニカ報告【特集】
隣国へ子ら売買 置き去りの路上
粗末な小屋「夢は看護師」
水も電気もトイレもないバテイで生活する
双子のマリア・マヌエルちゃん(左)とミッシェルちゃん
=ドミニカ共和国・サンホセ・デ・オコアで6月
◇ 電気も水道もない ハイチ移民の双子
ドミニカ共和国の首都サントドミンゴから車で約2時間。サンホセ・デ・オコア郊外の農村に着いた。トタンぶきの粗末な小屋の玄関から、マリア・マヌエルちゃんとミッシェルちゃんの8歳の双子が興味深そうにこちらを見ていた。
「ゴホッ、ゴホッ」。せき込むミッシェルちゃんの背中をマリアちゃんがさする。母リビアーナさん(48)は「貧しくてちゃんと食べられないうえに、村の家々にはトイレがなく、衛生面に問題があるんです。子どもたちはすぐに風邪や熱病にかかる」と困った表情で打ち明ける。
マリアちゃんたちが暮らす村は「バテイ」と呼ばれ、住民は1930年代以降、サトウキビ農場の労働者として移住してきたハイチ人やその子孫だ。ドミニカには数多くのバテイがある。リビアーナさんの両親もハイチから移住してきた。バテイでは、ハイチ人に対する差別などから電気や水道、トイレなどインフラが全く整備されず、劣悪な環境での暮らしを余儀なくされる。
そんな環境で暮らすマリアちゃんの夢は看護師になることだ。「みんな病気になるから、私が治してあげたい」。そう言ってミッシェルちゃんと見つめ合って笑った。