主な事業/国際協力に関する事業(世界子ども救援事業)

2016年ヨルダンのシリア難民報告【特集】

未来つかみ取れ

◇8万人以上学校通えず

サポートスクールで勉強する子どもたち=アンマンで

サポートスクールで勉強する子どもたち=アンマンで

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ヨルダンで暮らすシリア難民約65万人のうち、52%にあたる約34万人が18歳未満。ヨルダン政府は難民キャンプ内に学校を設けるなどして、教育の機会を与えている。

 しかし、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によると、学齢期の22万6000人のうち8万人以上が公的な教育を受けていない。理由は、貧困のため働かなければならない▽内戦の長期化で、学校から離れ学力が追い付かない▽通学費が支払えない――など。貯金のない家庭がほとんどで、労働に就く子どもたちは今後も増える見込みだ。

 ユニセフ(国連児童基金)はNGOなどと協力し、アラビア語で「私の居場所」という意味の「マカニ」と呼ばれるサポートスクールを全国で約220カ所運営する。アラビア語、英語、数学などを基礎から学べ、公立学校に編入する学力を身に着けることが目標だ。コミュニケーション能力を高めるためのプログラムもあり、「生きる力」をつけてもらうのが狙いだ。

 ユニセフのヨルダン事務所の広報責任者、ミラージュ・プラダンさんは「15歳くらいになると、教育を受けていない自分たちは難民生活を続けても未来がないと考え始める。希望をなくし、テロリストの思想に共鳴するケースもあるだろう。だからこそ若者に目を向けて、教育に力を入れることが大切。子どもたちを『ロストジェネレーション』にしてはならない」と話す。

Back