主な事業/国際協力に関する事業(世界子ども救援事業)

2009年コンゴ民主共和国 闇に差す光 略奪の大地で (3)

誘拐され子ども兵に
計り知れぬ心の傷、社会復帰の道

反政府武装勢力にいた時のことを語るニコラス・カバンダ君(仮名)。時折鋭い表情を見せた=コンゴ民主共和国東部ゴマで2009年6月8日、森田剛史撮影

反政府武装勢力にいた時のことを語る ニコラス・カバンダ君(仮名)。 時折鋭い表情を見せた =コンゴ民主共和国東部ゴマで 2009年6月8日、森田剛史撮影

  コンゴ民主共和国南キブ州カロンゲ。山の中腹に建つ小屋は、NGO「GRAM」が元子ども兵の社会復帰を支援しようと07年に開設した職業訓練所だ。取材で訪れると、リーダーと名乗るジャンクロード・キズングさん(18)が、「何をしに来た」と前を遮った。

 ここでは少年25人が家具づくりを学んでおり、他の少年もカンナやノコギリを置いて集まってきた。キズングさんは5歳で兵士になったと語り、「やっとの思いで故郷に逃れたら、家族や友達に拒絶された。誰も助けてくれない」と訴えた。

 同国では約15年間も紛争状態が続き、兵力を補うために、多くの子どもが無理やり兵士にさせられた。ユニセフは04年から、自ら国連施設に逃げ込んだり、NGOの仲介などで武器を捨てた子どもを支援しているが、その数は約3万人に上る。

 「技術を身に着けても、道具すら買えない」。11月に出所する予定のベナス・ガラゴンバさん(18)は10歳の時、両親の目の前で民兵組織「マイマイ」の兵士に誘拐され、武器を持って戦場に立つことを強いられた。組織から逃れて5年ぶりに自宅に戻ったが、両親は最初、息子と分からず、「死んだと思った」と言ったという。

コンゴ民主共和国地図  

コンゴ民主共和国地図  

 心の傷は計り知れない。12歳の時、隣国ルワンダから逃れた「コンゴ民主連合(RCD)」の兵士に両足を撃ち抜かれた。「あの時、逆にやってやったよ。今もやつらが憎い」と話す様子は、「住む所を変わらずにできる大工になりたい」と夢を語る少年とは別人のようだった。

 ユニセフが支援する教育施設「カジェド」(北キブ州ゴマ)。2カ月前から算数などを学ぶニコラス・カバンダ君(13)=仮名=は「勉強できてうれしい。友達もできたし、トランプが一番楽しい」とあどけなさを見せた。しかし、武装勢力「ルワンダ民主解放勢力(FDLR)」の兵士に誘拐された07年9月後の記憶をたどると、瞳は力を失った。「豆ばかり食べ、ジャングルで寝て……」。少年は途中で、呼びかけに応じなくなった。 【田中龍士】

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