主な事業/国際協力に関する事業(海外難民救援事業【旧「世界子ども救援事業」】)

2010年ケニア・エチオピア ケニアから 乾きと命 (9)

のど潤す濁り水
父「遊牧生活 もう限界」

学校の中庭で声を張り上げ踊るマゴソスクールの子どもたち。厳しい生活環境で暮らす子どもが多いこの学校の児童数は増え続けている=ケニア・ナイロビのキベラスラムで2010年7月5日、小松雄介撮影

家畜のヤギに飲ませる水をくむ
ナンゴロラエトンちゃん。
同じ水を自分たちも飲む
=ケニア・トゥルカナ地方で2010年6月26日、小松雄介撮影

 砂の大地が地平線まで広がるアフリカ・ケニア北西部のトゥルカナ地方。乾いた川床に掘られた井戸の底でトゥルカナ族の少女がアルミ缶を手に黙々とわき水を くんでいた。水が注がれたたらいに数頭のヤギが競って首を突っ込む。約100頭のヤギに水を与えた後、少女は缶を口にあて、自らののどを潤した。

 ナンゴロラエトンちゃん(9)。家族とともにヤギを追い、約12キロの道のりを歩いてきた。家に帰ると、薪(まき)集めの仕事が待つ。一緒に水をくんでいた姉アカイちゃん(11)は「学校に通う暇はない。これが私たちの仕事だから……」と話す。

 トゥルカナ族の多くは今も、季節ごとに水のある地域を移動する伝統的な遊牧生活を営む。だが、父アクイさん(40)は言う。「昨年はどこに行っても水や草 がなかった。雨期は短期間で終わり、干ばつがたびたび訪れる。遊牧生活はもう限界だ」。昨年、干ばつと家畜の伝染病でヤギ600頭のうち500頭が死に、 子どもたちに飲ませるミルクが不足しているという。【遠藤孝康】

 

Back

Next