主な事業/国際協力に関する事業(海外難民救援事業【旧「世界子ども救援事業」】)

2010年ケニア・エチオピア ケニアから 乾きと命 (10)

生きたい
背景に温暖化

洪水現場で2歳の弟ナチュロ・ドミニクちゃんを背負うリチャード・ロトメ君=ケニア・トゥルカナ地方で2010年6月30日、小松雄介撮影

洪水現場で2歳の弟ナチュロ・ドミニクちゃんを背負う
リチャード・ロトメ君=ケニア・トゥルカナ地方で2010年6月30日、小松雄介撮影

 南アフリカの人々を悩ませる気候変動について、東大大学院理学系研究科の山形俊男教授(気候力学)に聞いた。

山形俊男・東大大学院教授 48年宇都宮市生まれ。71年東大理学部卒。過去の気象状況の解析や海面温度の計測データに基づき、数年先の気候変動を予測する研究に取り組む。99年にはインド洋ダイポールモード現象を発見。

山形俊男・東大大学院教授 48年宇都宮市生まれ。71年東大理学部卒。過去の気象状況の解析や海面温度の計測データに基づき、数年先の気候変動を予測する研究に取り組む。 99年にはインド洋ダイポールモード現象を発見。

--気候変動と地球温暖化の違いは。

 気候変動(クライメット・バリエーション)は、気候の平年状態からのずれ。エルニーニョ現象など大気と海洋の循環システム内で送る変動だ。「クライメット・チェンジ」は気候変化と訳すべきで、循環システム外からの影響による長期的な変化。その一要素が地球温暖化だ。

--異常気象をもたらすのは。

 直接的には気候変動現象の結果だ。たとえば、インド洋で海面水温が平年に比べて異常な数値を示すダイポールモード現象が起きれば、オーストラリアやインドネシアでは、干ばつ、日本は猛暑、東アフリカやインドは大雨になる。

--異常気象が頻発し、激しさを増している。

 背景には地球温暖化がある。最近50年間で水深3000メートルまでの平均海水温は0.04度上がった。大気に換算すると40度の上昇だ。海水温が上がると、水の蒸発が激しくなり、ある地域では洪水になるほどの大雨、別の地域では激しい干ばつになる。

--東アフリカの状況は。

 東アフリカに面したインド洋は特に水温上昇が激しい。ダイポールモード現象も頻繁に起こるようになっており、異常気象がさらに激しくなる可能性がある。

気候変動によるアフリカへの影響予測

 
5年間の主な気象災害

05年8月:米南部にハリケーン「カトリーナ」が襲来。約1800人が死亡

07年7月:欧州南部で記録的猛暑。気温が連日40度以上に達し、500人以上が死亡

07年11月:バングラデシュでサイクロン被害。死者・行方不明者4000人以上

08年5月:ミャンマーにサイクロン「ナルギス」襲来。死者・行方不明者約14万人

09年8月:台湾中南部で台風による豪雨水害。699人が死亡・行方不明

10年3月:中国南西部で09年秋からの干ばつが深刻化。2000万人以上が飲料水不足

10年7~8月:中国各地で豪雨・土石流。約2億人が被災、2000人以上が死亡・行方不明。

10年7~8月:ロシアで記録的猛暑。山林火災が相次ぎ、穀物生産に干ばつ被害

  

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