主な事業/国際協力に関する事業(世界子ども救援事業)

2017年東南アジアの零細金採掘報告【写真特集】

危険の隣 夢みつめ

家族を楽に ぼくが

真っ暗なトンネルの中で岩を掘るシェルドン・ダオ・アイさん=フィリピン・ベンゲット州イトゴンで

真っ暗なトンネルの中で岩を掘るシェルドン・ダオ・アイさん
=フィリピン・ベンゲット州イトゴンで

 少人数で金を採掘・精製する零細小規模金採掘(ASGM=Artisanal and Small-scale Gold Mining)。従事者は世界で最大1500万人とされ、東南アジアでは貧困家庭の子どもらが、有毒な水銀を使った精製作業や金鉱山での重労働で家族を支えている。一方で、水銀使用を国際的に規制する水俣条約が8月に発効し、問題解決の取り組みも始まっている。【文・畠山哲郎、写真・川平愛】

家族を楽に ぼくが

  トンネルの壁はしっとりとぬれ、ひんやりした空気が辺りを包む。フィリピン・ベンゲット州イトゴンの金鉱山。闇の中、額に付けたライトを頼りに、シェルドン・ダオ・アイさん(17)が金属の棒とハンマーで、金鉱石が混じった壁の岩を打ち砕く。「カン、カン、カン」。乾いた音が闇に響いた。

 6月から、生まれ故郷のカリンガ州を離れ、住み込みで働き始めた。「地元は働き口がなかったから」。軍の非正規兵の父と、コメ農家の母は小さな木造住宅で暮らし、カボチャやほうれん草を食べて糊口(ここう)をしのぐ。「家族を楽にしたい」。資金をためて軍の試験を受け、そこで働くのが目標だ。

 山小屋の竹製のベッドで疲れを取り、午前8時から正午まで、金鉱石を採りトロッコなどで外へ運ぶ作業を続ける。昼休み後、午後11時まで及ぶことも。「仕事は本当に大変。毎日ほふく前進しながら潜っているよ」。休みは週1日。それでも7月は思うように金鉱石が採れず、収入はほとんどなかった。

 イトゴンでは約1万5000人がASGMで働き、うち5000人はシェルドンさんのように出稼ぎだ。「慣れないけど、やらないと」。シェルドンさんは今日も暗闇に潜る。

 

ヨルダンの主なシリア人難民キャンプ

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