2017年東南アジアの零細金採掘報告【写真特集】
危険の隣 夢みつめ
12歳、先生になりたい
水銀と金の合金を火であぶるプリンス・ペルモシリさん。
水銀の蒸気を吸い込む恐れのある危険な作業だ
=フィリピン・カマリネスノルテ州ホセパガニバンで
水銀と金の合金をガスバーナーであぶると、直径5ミリほどのキラキラと光る金の粒が現れた。フィリピン・カマリネスノルテ州ホセパガニバンに住むプリンス・ペルモシリさん(12)は、5月からASGMの仕事を始めた。金鉱石を砕いて水銀と混ぜ、合金をあぶり高純度の金を精製する作業。その過程で水銀の蒸気も吸い込む。
8人きょうだいの7番目。魚の行商をする父と、マニラの料理店で働く母の仕送りで生活するが、「それだけでは足りないから自分が稼がないと」。週末、近くの作業場で1日4時間働く。時給にすると日本円で100円程度。「ノートやペンを買い、学校に行くためのお金にしているんだ」
砕いた金鉱石を水銀と混ぜ、水を足したり捨てたりして少しずつ不純物を取り除く。「体に悪いと聞いているから気をつけているよ」。ただ、水銀を触るのは素手で、あぶる際にマスクも付けない。周辺の現場では、水銀中毒で亡くなったり後遺症を負ったりした作業員もいるが、仕事を始めてから日が浅く、まだ具合が悪くなったことはない。
近くの学校に通う小学6年生。「いろいろなことを学べるのがとっても楽しい。学校の先生になるのが将来の夢です」。そう力を込めた。