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帰れないひとびと ミャンマー国境から【特集】

地雷で右脚と右目の視力を失ったワナアウンさん。右目は義眼を入れている=いずれもタイ・メソト郊外のサンシャイン・ケア・センターで2026年5月25日


ミャンマー国旗



リハビリに臨む患者
タイ北西部メソト郊外のリハビリ室で、若者が手すりにつかまり、一歩ずつ足を前に出していた。床のマットでは、別の若者が重りをつけた脚をゆっくり持ち上げる。そばで体を支えるのも、ミャンマーから逃れてきた若者だった。
ここはサンシャイン・ケア・センター(SCC)。内戦で重傷を負った若者たちが身を寄せ、リハビリや通院支援を受けている。ここにいるのは、ミャンマーの軍事政権に抵抗する側に加わり、戦闘で傷ついた若者たちだ。2021年のクーデターで仕事や学校を失い、戦闘に加わった人もいる。病院で命は助かったが、元の体にも、元の生活にも戻れない。
ワナアウンさん(24)は、地雷で右脚と右目の視力を失った。10日以上意識がなく、病院で目を覚ました時、まだ自分に両脚があると思っていた。薬の影響が薄れ、右脚が短くなっていることに気づいた時、初めて失ったものの大きさを知った。
いまは義足をつけて歩けるようになるため、訓練を続けている。それでも「本当の意味での回復という言葉はありません」と話す。失った脚は戻らない。義眼を入れた右目も、見ることはできない。

アートセッションで絵を描く患者たち

施設内にある車椅子
SCCを立ち上げたネイチーリンさん(39)は、医師でも理学療法士でもなかった。クーデター後、ミャンマーからメソトに逃れ、避難民の通訳や薬、食料の支援を始めた。助けを求める人が増え、退院後に行き場のない若者たちを受け入れる場所が必要になった。
SCCはこれまでに1700人以上を支えてきたという。現在も約140人が滞在する。約束できるのは、元の体に戻すことではない。食事を出し、眠る場所を用意し、通院に付き添い、リハビリを続ける。すぐに前を向けない日には、そばに座って待つ。
命が助かった後も、戦争は終わらない。若者たちの「その後」は、この場所で続いている。【写真・久保玲、文・小泉大士】