2013年ブルキナファソ報告【特集】
続くテロ 民族対立
~迫害やむまで帰せぬ~
フランス軍の介入で終息したかに見えるマリ北部紛争だが、周辺国に逃れた難民たちの帰還は今もめどが立っていない。現状と今後の展望について、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)ブルキナファソのステファン・ジャクメット代表=写真=に聞いた。
マリ国内は安定に向かっているが、同時に人権問題が起きている。難民の大半を占めるトゥアレグ族への迫害だ。安全面や社会的な公平さが担保されない限り、帰還事業には着手できない。難民の多くも、この状況での帰郷は望んでいないだろう。
ブルキナファソのキャンプで改善が求められているのは、住居環境と飲料水、教育だ。フランス軍がマリに介入した直後は難民が増え、テント設営のための資材置き場には常に行列ができた。飲料水は主要なキャンプでは潤沢だが、乾期のピークに向けて安定的に供給できるよう整備を進めている。教育は就学率が元々低いので、特に初等教育に力を注いでいる。
難民たちの移送も課題だ。マリ国境付近に点在するキャンプは、飲料水の確保に問題があり、イスラム過激派の標的にもなりうる。ブルキナファソではゴーデボーをはじめ、キャンプを三つ程度に集約し、安全面を万全にしたい。
マリでは今年7月に大統領選が予定されているが、難民たちが帰郷し、元の生活を取り戻すにはまだ時間がかかる。日本の皆さんは重要な支援者だ。報道やNGOからの情報を通じ、マリとその周辺国で何が起きているのかを知ってほしい。そして、支援を続けていただきたい。