主な事業/国際協力に関する事業(世界子ども救援事業)

2019年ナイジェリア報告 終わらぬ恐怖【写真特集】

貧困・病 小さな命奪う

栄養失調への対応に特化した「国境なき医師団」の小児専用医療施設で、
点滴治療を受ける国内避難民のモハメッド・ブカルちゃん(3)。
母ビントゥさん(30)は前日入院したモハメッドちゃんの傍らを片時も離れず
世話をしていた=ナイジェリア・ボルノ州マイドゥグリで9月に撮影

 ナイジェリア北東部ボルノ州では、イスラム過激派の武装勢力「ボコ・ハラム」の襲撃で多くの人が命を失い、家を追われた。治安の悪化でインフラが機能不全となる中、子どもたちが栄養失調やマラリアに苦しんでいる。NGO「国境なき医師団(MSF)」によると、現地では例年、8~10月に患者数が多く、死亡するケースもある。今年9月に取材に訪れた同州の州都マイドゥグリの小児医療機関では、ベッドに横たわる子どものそばで、母親が心配そうに付き添っていた。

 所狭しと並ぶベッドの上で、点滴を受ける子どもたちが、ぐったりと横たわっている。その脇を、看護師らが忙しそうに動き回っていた。ここはMSFが運営する小児専用の医療施設で、約100床のベッドがある。マラリアの流行期には1日約100~150人の患者が訪れる。基本的にベッドが足りず、一つのベッドに2、3人の子どもが横になることもあるという。マラリアにかかり、2日前から入院しているムスタファちゃん(3)に付き添う母親のアイシャ・モハメッドさん(25)。7人の子を産んだが、うち2人を病気で亡くしたつらい経験がある。「とても心配。一日でも早く回復してほしい」と我が子の小さな手を握りしめた。

 また、MSFが運営する別の医療施設では、栄養失調の治療にあたっていた。子どもの腕の太さや体重を計測し、状態をタブレットで管理。農作物の収穫期前の8~9月ごろが一年で最も食料が不足するため患者数がピークを迎 え、1日約200人の子どもを受け入れているという。MSFのスタッフは「非常に深刻な状態の子どももいる。少しでも早く元気にしてあげないと」と言葉を絞り出した。<写真・山崎一輝、文・岡村崇>

地図

ナイジェリア・ボルノ州

 

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