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2019年ナイジェリア報告 終わらぬ恐怖【特集】

経済発展の影で

ナイジェリアでは、石油資源による経済発展の陰で、多くの国民が貧困にあえいでいる

ナイジェリアでは、石油資源による経済発展の陰で、
多くの国民が貧困にあえいでいる

 アフリカ最大の人口1・9億人を誇るナイジェリア。石油による経済発展とは対照的に、多くの国民が貧困にあえぐ。ユニセフ(国連児童基金)によると、昨年の5歳未満児の死亡率は1000人中120人で、世界で2番目に悪い。児童労働に従事する子ども(5~17歳)の割合は31%で、他のアフリカ諸国と同水準だ。2014年ごろからイスラム過激派の武装勢力「ボコ・ハラム」が台頭、静かな暮らしを破壊し、追い打ちをかけている。貧困から抜け出す日は見えてこない。

 今年9月、ナイジェリア北東部ボルノ州の州都マイドゥグリを訪れた。市街地から離れた幹線道路脇の空き地に積み上げられたゴミの山では、鼻をつく異臭が漂っていた。ここは州の所有地で事実上、放置されており、直近数カ月で急速にゴミが増えたという。その中で、子どもたちが換金目的で金属やプラスチックなどを拾っていた。中にはサンダル履きの子もいた。国連スタッフは「このような極貧状態の子どもたちは、ナイジェリア国内に多く存在する」と話した。

 キャンプでの生活も厳しい。ボコ・ハラムから逃れた避難民があまりに多いため、政府や国連が運営するキャンプでは収容しきれず、NGO(非政府組織)などが支援する非公認キャンプも増えている。マイドゥグリにある非公認キャンプでは、地主が土地を提供し、各団体の支援を受け、約3000人が廃材で作った家に住む。マリアム・アドさん(35)は「育ち盛りの子どもたちに、栄養のあるものを食べさせたい。今以上の収入が見込める職を見つけないといけない」と話した。

 一方、国連開発計画(UNDP)は廃棄物処理プロジェクトの一環で、道路の側溝にたまったゴミや泥を取り除いている。職を得にくい女性を中心に国内避難民の雇用を生み出す狙いもある。日当は約700円で、参加者はやりがいを感じているという。UNDPの担当者は「ここで雇用するのは半数以上が女性。避難民を支援するため、今後も続けたい」と話した。【写真・山崎一輝、文・岡村崇】

◇ナイジェリア連邦共和国

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